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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
幕間 憧れの人
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……思っていました(・・・・・・・)……。


 
 

 
 

 夢の中のあの人は……やっぱり強かった……災害から人を救い、怪物を退治し、戦いに巻き込まれた人達を救っていた……けど…………確かに強かったけど……

 あの人は……傷付いていた……傷付けられていた……

 救えなかった人の家族に……救った人に……何も知らない人に……
 
 ……言葉で……暴力で……

 傷付けられながらも、それでもあの人は……人を救っていた…………

 夢の中のあの人は、涙が零れそうになるのを歯を食いしばり耐えていた……悲鳴を上げそうになるのを血を飲み込み耐えていた……
 あの人は……きっと特別なわけじゃなかった……でも……心が、身体が傷付いたとしても、それを一人で抱えてしまえるぐらいには強かったせいで、みんな勘違いしてしまったんだ……特別だから……傷付いていないんだって……。
 だけど……分かってしまった。

 
 あの人は……特別だけど……特別じゃなかったって…………。


 強いけど……強いけれど……とても…………弱い人だって…………。


 夢の中で、あの人が傷付くたび……わたしの胸に鋭い痛みが走る、目の奥に熱が込もる……。

 耐え忍ぶあの人を見るたびに、駆け寄りあの人の支えになりたい…………。

 責められるあの人を見るたびに、駆け寄りあの人を抱きしめてあげたい…………。







 何で……こんなにもあの人のことが気になるんだろう?



 何でこんなにもあの人のことを思うと胸が苦しいんだろう?



 何でこんなに……あの人に触れたいんだろう……?



 ああ…………。




 ああ……そっか……わたしは……あの人のことが……






 好き





 なんだ……  

 




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