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SAO編−白百合の刃−
SAO18-想いによる疾走
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、イリーナさん!?」
「あら、キリカ。そんなに驚くことかしら」

 そう言うつもりじゃなかったけど、予想以上に驚いたのは、警戒も想定も微塵も思わなかったころなんだろう。
 ここは冷静になって、対処しないと……恥ずかしい思いをされてしまうわ。

「どうしたんですか?」

 アスナが言うとイリ―ナさんはおっとりお嬢様のようにニコニコしながら口にした。

「いや、キリカがアスナに甘えているところで来たんだけど」
「うわぁ――! うわぁ――っ! うわあぁ――!!」

 言い終わらないうちに意味もなく大声を上げて誤魔化した。いや、誤魔化しきれないけれども、それでも先ほどまで冷静に対処しようと思っていたのが一瞬で崩れ落ちてしまった。

「なんかソフトクリームのような甘い空気がなくなるまで見守っていたわ」
「それはありがとうございますね! ほんと!」

 あんまりこう言うのは慣れてないから。人より羞恥心があるだろ。だから、きっと私の顔はリンゴのように真っ赤に染めているに違いない。顔が熱い。当然、堂々と見せられないので顔を隠してやけくそ気味で言い放った。

「大丈夫?」
「大丈夫……じゃない」

 アスナの気遣いに礼を想いつつ、空気を変えるべく、イリ―ナさんがここにやってきた理由を訊ねることにした。

「それでイリ―ナさん。なにしに来たんですか?」

 すると、先ほどのお嬢様のようなニコニコではなくて、私達部下と言う娘達を見守っている母親のような笑みを浮かべていた。

「訓練メニューを伝えに来たのよ」
「それって、先ほど言っていた……」
「そう。二人にも、今日も明日も明後日以降も、生きていて良かったと思えるくらいに強くならないとね」

 ゴドフリーと言う人物がお互いの嫁……じゃなくてパートナーが取られてしまい。残って帰りを待つ私達に与えられたのが、私とアスナでの戦闘訓練。

「わたし、キリト君と一緒がよかったのに!」

 アスナは数分前のことを思い出し、再び不機嫌になっては顔を膨らませる。ちょっとイリーナさん、膨らんだ頬っぺたに指で押して遊ばないでくださいよ。
 からかっている様子なのにアスナを怒ることはない。むしろ撫でられるように慰めている感じがする。

「たまには離れることも大切よ。恋愛と同じように」
「はい……」

 イリーナさんは、いとも簡単にアスナを慰めた。言っちゃ悪いけど、同じ副団長でもこんなにも威厳の差が開くものなのか? そう言えば、ドウセツが例え話でアスナが生徒会長でイリーナが先生とか言っていたのを思い出した。そう思えば、同じ副団長でも、威厳の差が開くのも納得できる。

「キリカちゃん。今、失礼なこと考えなかった?」
「考えてないです」
「あらあら。微笑ましいわね」
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