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SAO編−白百合の刃−
SAO18-想いによる疾走
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、胸へと寄せつけられ抱きしめられる。

「大丈夫だと思っていても、実際は大丈夫じゃないのよ」

 ドウセツの声は透き通っていて毒を吐く氷の聖霊だ。ひんやりとしているけど、心が温まるような気がする。

「貴女は辛いほうを選んでしまった。それはきっといつまで経っても癒えるようなものではない」
「……知っている」
「だから、苦しんだら耐えきってもいい、誰かに温もりを貰ってもいいのよ」

 それって、結局は自分の選択肢じゃないか。大丈夫だけど大丈夫じゃないみたいだな。
 あの日のことを逃げずに向き合い続けることが、罪を起こした償い。逃げなければこうやってドウセツの胸へ埋まれて抱きしめられることないんだろう。
 サチ……私生きているのよ。貴女のこと忘れずに嬉しいことも嫌なことも含めて覚えているよ。

「ドウセツ……お願いがあるんだけど」
「なに?」
「ちょっとさ…………このままで泣いていいかな?」

 手も声もひんやりとしているのに、ドウセツって月みたいな人だな。闇を照らす月夜の光には優しさも温もりも感じる。冷たいこともあるけどそれがいい。
 そう、去年のクリスマスで包まれたあの温もりのようなに、私はドウセツの温もりが好きなんだな。

「……好きにして」
「うん……ありがとう」

 私は眠るまでドウセツの胸へ埋まれながら、そっと涙を流した。ドウセツも私が眠るまでずっと抱きしめていた。
 大丈夫だけど大丈夫じゃなかった。そして大丈夫になったから、私が流した涙に悲しみの色は染められてはいなかった。



「ありがとうアスナ。もう大丈夫」

 そう言って私はアスナから離れる。

「大丈夫なの?」
「大丈夫。さっきより元気になったから」

 離れていても包まれた温もりは体を覆っているのがなんとなくわかる。甘えすぎると……恥ずかしいんだよね。場所もそうだし、あまり他の人とかには見せたくないな。
 アスナは悟った様子で追及せず、「そっか」っと、微笑んで座り直した。

「あ、そう言えば去年のクリスマスのこと思いだしたんだけど、ドウセツがギルドを抜けた日でもあるのよ」
「そうなの?」
「うん。本部へ帰ってきたら抜けるって言ってきたこと覚えている。なんかあんなことを急に告げたのはわからないけど、今思えば、ドウセツなりの理由があったと思うわ……」

 そうなんだ。私もよく思い出してみれば、あの人も黒髪だったな……まさか、自暴自棄になった私を助けてくれたのは、ドウセツなのか?
 でも、それも些細な偶然でしょうね。黒髪なんていっぱいいるし。

「あら、微笑ましい光景ね」
「!?」

 別に、二人の空間を作ったわけじゃないが、見守る母親のように割り込む声音が届き、反応と共に振り返る。

「い
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