第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
七月二十四日:『幻想御手』
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が喧しい、しかし、知ったことか。
「特定の音程パターンの取り込みにより脳波ネットワークを構築、それによる並列演算で能力強度を高める……これが、『幻想御手』の正体ですの。一人では弱くても、百人集まれば、という奴ですわ」
「ハッ────仲良しこよしで傷の舐め合いをさせる装置ってかい? そんな訳ねぇよ、白井ちゃん! 零時、八メートル!」
目を離さずに携帯端末を片手に検索しながら、耳のインカムの先の美琴……別ルートで研究所に向かっている美琴へのものと合わせて、嚆矢へと語りかけてくる黒子。その彼女に、座標を伝えれば────虚空から赤信号を越えて現れる、バイクの二人。
だが、概要は兎も角、開発目的が不明瞭だ。能力強化の頭打ちに苦しむ学生を救う為にでも開発されたと言うのか? ならば何故、大々的に、有名機関が行わないのか。
「────クセェな、臭いすぎる。何かしらの裏がある、必ず! 二秒後、九時!」
「ええ……わたくしも同意見ですのそして、一番の問題がそこですわ。『幻想御手』のキーとなる脳波の波形、その持ち主が……!」
速度を落とす事もなく、赤信号に突っ込む。左の真横から、当たり前ながらスピードに乗った一台の車が直進してくる。
衝突するように消えたバイク、何も知らない者が見れば卒倒ものの光景だろう。しかし、無論。二人は無事。バイクは速度を微塵も落とさぬままに、有り得ぬ機動で左を向いて走行している。車、スルリと躱して。
「木山────大脳物理学者、木山春生その人のものですの。そして、彼女の元に向かった初春と連絡が取れない……今、警備員が突入したようですけれど、外れだそうですわ。初春……一体何処に──────?!?」
それも、端末から目を離さずに行った彼女が、落胆の声を上げる────のとほぼ同時に、嚆矢がバイクの車体を大きく傾けて急ブレーキ。危うく投げ出されそうになった黒子だが、嚆矢の右腕に支えられて辛うじて留まる。
「な、なんですの、いきなり……!」
「────見付けた、今の車!」
非難の言葉を遮られて、漸く黒子は嚆矢を見た。この席に座って初めて、その眼差しを前席の彼へ。
「────花飾り、飾利ちゃんの! 木山春生……目の下の隈が酷い白衣の女、あれでいいのかは少し自信無ェけど!」
獲物を狙い定命た獅子の如く天魔色の髪を風に逆立たせ、透き通るような蜂蜜酒色の瞳を燃え立たせる彼へ。
靭やかながらも、揺るぎ無い右腕。食い縛った顎からやけに鋭い剣牙を覗かせる、年上の男────対馬嚆矢を。
その剣幕に、剣呑な雰囲気に。一寸、息を呑んで。
「ええ────その特徴で間違いあ
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