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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の休息篇
30.神意の思い出
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 再び、大きなあくびが出た。
 少しテンションの高くなっていた少女は、勢い良く彩斗の部屋から出て行くのだった。

「さて、もう一眠りするか」

 彩斗は再び、ベッドに倒れこむのだった。




「痛ぇ……唯の野郎」

 教室の机の上に突っ伏して腹部の痛みを堪え続けている。
 二度目の眠りについてすぐに妹からの制裁が下ったのだ。そのせいで彩斗は夢の世界どころか死の世界が一瞬見えたぐらいだった。

「いやいや、彩斗。話を聞く限りおまえが悪いだろ」

 少しだけ顔を上げると前の席で呆れた顔をした少年が呟いた。

「うるせぇな、綾。仕方ねぇだろが。そもそも、人間の三大欲求である睡眠を阻害するなんてそれは神に背く行為だ」

「また屁理屈を……」

 再び、少年は呆れた顔をする。
 彼は同じクラスで彩斗の親友といってもいい倉野木 綾(くらのき りょう)だ。かなり整った顔立ちをしており、茶色く髪を染めている。学年でもかなりのモテる方だが、彼は付き合ってるという話は聞かない。

「というわけで俺は眠る。それでは……」

 彩斗は再び眠りにつくのだった。

「また彩斗は寝てるんだ」

 聞き覚えのある声に彩斗はわずかに耳を傾けた。

「ほら、もうすぐSTが始まるから起きなよ」

 少女の声とともに彩斗の身体が左右に揺らされる。
 それでも頑固としてその体勢を崩そうとはしない。しかし左右の揺れは激しくなる一方だ。

「ギブギブギブ!」

 彩斗は叫んだ。

「やっと目、覚ました?」

 先ほどの揺れに酔って吐き気が襲ってくる。目が回っている視界に少女の顔が映る。

「もう少し手加減してやれよ。こいつ今日朝から二発妹の制裁を受けてきてるんだから」

「どうせまた二度寝でもしたんでしょ」

「おまえは俺の心でも見えてんのかよ」

 彩斗の前で若干ドヤ顔気味な表情を浮かべる少女。彩斗の小学生の頃からの付き合い。世にゆう腐れ縁みたいなものだ。
 黒髪でもみあげだけ少し長くなっている少女。彩斗の幼馴染の神崎 志乃(かんざき しの)だ。

「そういえば、今日転校生が来るらしいな」

「へぇー、そうなんだ」

 全く興味がなかったが綾の言葉に相槌を打つ。

「俺の情報によると女らしいぞ。しかもかなりの美人」

「おまえの情報はどこから仕入れて来るんだよ」

「でも、それがあながち間違ってないのがすごいんだよね」

 綾は不敵な笑みを浮かべる。
 すると教室の前の扉が開き、三十代後半くらいの女性が入ってくる。

「ホラ、おまえら早く席つけ」

 彩斗のクラスの担任教師だ。
 教師が教卓に着くと生徒たちは各々の席に着く。
 朝の挨拶も
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