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雲は遠くて
20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (7)
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20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (7)

「結局は、どれほど、それが好きかということに
なるのかもしれないなあ」

つぶやくように、佐野幸夫がそういうと、
その話を聞いていた、みんなは「そうだね」とか
「うんうん」とかいって、賛同(さんどう)する。

「なんか、男の人って、むずかしいお話が、
お好きよね。
ねえ、幸夫(ゆきお)さん、
キッシュのお味は、いかがでしょうか?」

森留美(もりるみ)が、佐野幸夫のそばに来て、
そう聞いた。

「あ、留美さん、ほんとうにありがとうございます。
キッシュは、おれ大好きでして、
こんなにおいしい、キッシュは初めてです。
もう最高です。
さっきから、もう感激してばかりです」

「よかったわ!わたしも うれしいです。
料理って、おいしいとか、よろこんでいただければ、
それだけで、つくって、よかったって、いつも思うんです」

幸夫と留美の、笑顔でかわす 会話を聞きながら、
森川純(もりかわじゅん)が、
となりの席の森隼人に、話しかけた。

「隼人さん、お姉さんの留美(るみ)さんは、
美容師の免許を、ストレートで、
取得(しゅとく)されたそうですね。
あらためて、おめでとうございます」

「ありがとうございます。純さん」

「フォレスト(Forest)の、美容院の事業の、
全国展開する計画は、
順調に進んでいるんですか?」

「ええ、順調にいってます」

「これからの時代は、事業の業態の多角化は、
必要不可欠かもしれませんからね。
うちの、モリカワでも、業態は、常に、
(ひろ)く、やっていこうという戦略なんです」

「なんというのでしょうか。この競争社会では、
業績の横這(よこば)いとか、
売り上げや利益に、変動のない状態が続くことだけでも、
企業の衰退ということになってしまいますからね。
まるで、際限(さいげん)のない、
利益の追求をしていかなくちゃならないのって、
どうかしているとは思うんですけど。
まあ、利益追求のこともあって、
業態の多角化は、必然的になるんでしょうかね。
まあ、留美ちゃんが、
美容院の全国展開をしたいという夢もあるんですが、
そんなわけで、計画を実施しているんです」

「あの、ドラッカーも、利益は企業の目的ではなく、
存続の条件であり、
明日(あす)、もっとよい事業をするための条件だと
いっていますよね。
しかし、実際には、条件とされるほうが、
目的とされるよりも、きついわけですよ。
また、ドラッカーは、『たとえ、天使が、社長になっても、
利益には、関心をもたざるをえない」とも
いったりしていますよね」

「なるほど、ドラッカーのいう通りかもしれませんね。

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