暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
アカデミー編
赤い鞘
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リターン。
 それでいい。……それでいいはずだ。
 胸のあたりが酷く重たくなって、カトナが知らず知らずのうちに俯いたとき、

 「カトナ?」

 その呼びかけに、ゆるゆると顔を上げる。
 見れば、サスケが縁側にいた。
 カトナは少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

「おこした…?」
「いや、明日と明後日、当たる相手のこと考えてたから、おきてた」
「サスケは、まじめ」
「お前の相手は確か…」
「油女シノ、だった筈」

 無意識の内に握りしめていた赤い鞘と、そこに入っている短刀を目をやった。
 …油女シノは、蟲使いだ。
 遠距離攻撃の使い手で、一番の目立つ要素としてはやはり、彼が使役する蟲がチャクラを吸う事だろうか。しかもこの蟲ときたら、小さく素早いので、刀では当てにくい。
 広範囲の火遁を使うものがいたならば、楽勝だったかもしれないが、カトナはそれを打てる技術はあってもチャクラはない。

 「勝てるか?」

 サスケのその問いに、カトナはくすりと微笑した。

 「決まってる」

 赤い鞘を外し、青い鞘を刀に装着させたカトナは、サスケをまっすぐ睨み付ける。
 意志の強い瞳。
 
 「勝つ、よ」

 そう断言して、カトナはするりと大太刀を抜いた。
 銀の刃が、月の光を浴びて鈍く光る。

 その姿は、一枚の絵のように美しい。

 現在のカトナは、変化を解いていた。
 カトナの腰まで届く長い赤い髪は、一つくくりにして結い上げられており、俗にいうポニーテールになっている。
 服装は、白く細い足を惜しげもなくさらす、淡い水色のハーフパンツ。覗いている腕の色と、それほど変わらないようにも思える、真っ白な半そでのパーカー。
 アカデミーでは絶対に見られない姿だ。
 サスケの場合は特例だからと、カトナは彼の前では変化をせず、素の自分をそのまま押し出しているからこそみられる姿。

 サスケは目を細める。
 今現在のカトナの恰好は、女の様でもあり、男の様でもある。
 一度ナルトに着せて、ナルトが似合っていたら。……というか男っぽいと判断したら、カトナは服を着るため、カトナがこのような服を着るのは珍しい。
 あの日に、彼女はこういった服をすべて燃やして捨てたはずだ。
 新しく買ったのだろうか。あるいは。
 そんなことを思いながら、カトナの手を取って立ち上がらせる。 
 とりあえず寝させようとしたサスケの腕をカトナが掴み、小首をかしげた。

「一緒にねよ」
「は」

 思考停止したサスケに、カトナは少しばかり手を震わせながら言う。

「…また、見ちゃった」
「悪夢か?」
「うん」

 カトナはたまに悪夢を見る。
 その悪夢には統一性が無いように思えて、たった一つだけ共通点
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