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雲は遠くて
17章 世田谷区たまがわ花火大会 (3)
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んどうじょう)まで、歩きましょう!
時間までに、
ここに来れなかった人は、ひとりでも、無事(ぶじ)
現地には、行けるでしょうから。では出発します!」

そういって、森川純は、菊山香織と、なかよく、
集団(しゅうだん)の、先頭(せんとう)になって、歩きだす。

そのすぐ、あとを、川口信也と、大沢詩織が、
寄り(よりそ)うように、(ある)く。

交通渋滞(こうつうじゅうたい)のためもあって、
花火の実行委員会も、
徒歩(とほ)推奨(すいしょう)する。

成城学園前駅・南口から、
二子玉川(ふたごたまがわ)緑地運動場までは、
徒歩(とほ)で、片道30分から、40分くらいだった。
そんな、
のんびりと歩く、時間も、楽しいものであった。

「今年は、終戦から、68年くらいかな?
東北の震災から、2年と5か月くらいかな?」

森川純が、となりを歩く、川口信也にそういった。

先頭(せんとう)の、順番(じゅんばん)が、変わっていた。
(じゅん)と、信也(しんや)が、先頭になっていた。
そのあとを、
菊山香織(きくやまかおり)と、大沢詩織(おおさわしおり)が、
楽しそうに、ときどき、わらいながら、歩いている。

「急にどうしたの?純ちゃん。はははっ・・・」

「ふと、まじめに、考えちゃうんだ。しんちゃん。はははは」

「でもさぁ。おれたちに、できることなんて、
限界(げんかい)があるって!
今日(きょう)みたいに、みんなを、(さそ)ってさぁ!
花火を、(なが)めて、
感動したりしてさぁ!
何か、楽しいこと見つけて、
元気出して、やっていくしか、ないんじゃないのかな?
ストレスが多いもの。社会も日常も仕事も。
きっと、
(しあわ)せとか、充実感(じゅうじつかん)なんて、
花火みたいな、
一瞬(いっしゅん)の、ものでさぁ、
だから、
(はなな)いけど、瞬間(しゅんかん)だけど、
いつも、
楽しいこと(さが)してさ、見つけてさあ、
平凡(へいぼん)でもいいから、
そうやっていくしかなんじゃないのかな?純ちゃん」

「・・・いつかは、ゴールに、(たっ)するというような、
歩き(あるきかた)ではだめだ。
一歩一歩(いっぽ、いっぽ)が、ゴールであり、
一歩が、一歩としての、
価値(かち)を、もたなくてはならない・・・」

「へ〜ぇ。いい言葉じゃない、誰がいったの?純ちゃん」

「おれが、(つく)ったの。なんて、うそ。はっはっはは。
あのドイツの文豪(ぶんごう)
ゲーテが、
詩人の、エッカーマンに(かた)った言葉だよ。
エッカーマンって、ゲーテに認められた詩人らしいよ。
ゲーテより、43歳も(わか)かったんだ。
エッカー
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