そこにあった出会い……そして
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
誰だこの人。いきなり声が聞こえてきたと思ったら突然現れたぞ。朦朧とする意識の中、騎士はブンッと剣を横に振り、そしてその矛先を俺に向ける。
「さっさと答えろ。お前はオレのマスターなのかそうじゃないのか」
いやいや、瀕死の相手にいきなり剣突きつけてマスターかどうか聞かれても……。それにマスターってなんだ?バーにいるアレか?
等と軽く冗談を混ぜて思考していた時、それがまるで伝わったかのようにチッと鎧越しから舌打ちする音が聞こえてきた。
「二度は言わんぞ。お前はオレのマスターか?」
「あ……う」
よく分からんがとにかくそこにいる騎士の呼びかけに答えようと声を出すが、さっき全力で声を出したせいでうまく声が出せない。仕方ないので、ここは頷く事で肯定を示す。
「大丈夫か、このマスターは……」
はぁ…と溜め息を吐きながら剣を俺から引く騎士。その時、俺に気を取られている騎士の懐に片腕を失ったドールが忍び寄ってきた。
「う……あっ!」
「ん、なんだ?」
俺は騎士にすぐ側に敵がいることを訴えようとするが、騎士はそれに気がついてない。そして、ドールは騎士に向かって攻撃を放つ。まずい…このままではあの騎士の人がやられる!
バキィィィン!!
ドールの繰り出された攻撃は騎士に通ることはなく、そのまま体ごと砕け散った。パラパラと破片が舞い散る中で人形がいたところには騎士の大剣が振られていた。
騎士は体を動かす事なく片腕だけで大剣を振り回し、忍び寄る人形を散らしたのだ。
「こんなもの、焦る必要もない。まさかマスターはオレがこの程度の攻撃で倒れるとでも?」
やや不機嫌な声色で騎士は言う。実力はあるがよっぽどプライドが高いらしい。今の言葉が良い証拠だ。間違っても全くもってそうです、ハイ…なんて事も言えないだろうし。
「……」
沈黙が流れる。どうしたらこの空気が変わる…。あぁ…何か案はないのか…。と言うか…意識が…朦朧として…。
少年の意識が落ちると、一人ポツンと残された騎士は溜め息を吐いた。この少年は脆い。動きも鈍いし、何より無茶をする。先ほどの戦闘を見ていた騎士の感想は正にそれだった。
もしかしたら、この聖杯戦争を生き残る事はできないかもしれない。騎士は彼を見てなんとなくそう思った。
「クソッ……」
吐き捨てるように言うと、倒れている少年を抱き起こし、背中に乗せる騎士。なぜ自分はこんな事をしなくてはならないのか?と自分に疑問を持つ。しかし、それが自分はこの男のサーヴァントだからと言うことで渋々納得させている。
出口へ向かう途中、騎士の顔の近くに投げ出された少年の左手の甲が赤く光りを放った。それは紋章のような形で深く刻まれ、これから何が起こ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ