第十二章 妖精達の休日
幕間 青い薔薇
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風に笑って……。
傷付けた相手が笑うのを見て、そんな優しい顔で……。
あなたが浮かべる笑みには、偽りがない。
心の底から喜んでいるのが分かる。
それが、わたしには―――分かってしまった。
分かってしまって―――知ってしまった。
あなたは―――……。
……あなたが―――壊れていると言うことに……。
人を救うため身を―――命を投げ出す………それは、全くない話ではない。
でも、それは家族や恋人、友人など自分にとって大切な人を救うためで……関係のない、赤の他人のため命を投げ出してまで救おうとするなんて……それも一度や二度じゃなく、何十、何百と……。
そんなの……狂っているとしか言いようがない。
誰しも自分が大切で、死は恐ろしいもの。
例え愛する人の命を救うためでも、自分の命をかけるとなれば、誰もが躊躇する筈。
なのに、あなたは微塵も躊躇うことなくたった一つの命をかける。
言葉も交わした事もない、赤の他人のために……それは、強さなんてものではない。
ただ、壊れているだけ。
人として……生き物として……。
ぁぁ……シロウさん……歪で……壊れて……狂った人……。
まるで、あなたは……心のない……ただ人を救うだけの人形のよう……でも………違う。
わたしは見た。
救った相手から罵倒され、憎まれ、傷付けられる度、あなたの心は傷付くのを。
何も感じていないわけじゃない。
傷付けられる度に、あなたが見えない涙を流しているのを―――声なき慟哭を上げるのを―――わたしは見ていた。
何度も傷つき、倒れ、その度に立ち上がり、あなたは進み続ける……救うために。
何も感じていない理由じゃない。
悲しみ、怒り、苦しみ、泣き、叫び……それでもと、あなたは立ち上がる。
そんな誰よりも強く、そして弱いあなたを、わたしは守りたい。
どうすればいいか何て分からない。
でも―――ただ、守りたい―――その思いが、衝動となってわたしの心を大きく揺さぶる。
……わたしは弱く、小さく、何も出来ない……でも、それでもわたしはあなたの力になりたくて。
きっとあなたはそんな事は望まない。
だから、これは我儘。
わたしの我儘。
強く、硬く、強靭なあなたの、その奥に隠された繊細な硝子のような心を守りたいと思う――わたしの我儘。
あなたに助けられたからじゃない。
あなたに救われたからじゃない。
理由なんて分からない。
ただ………そんなあなたを守りたいと。
声を上げるわたしがい
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