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雲は遠くて
9章 恋する季節 (1)
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り、マイクを向けた。

「そうですかぁ、おれは、歌うのが好きなので、
歌わせてもらってます。
クラッシュ・ビートのみなさんのハーモニーが、
ビートルズみたいに、うつくしいので、
邪魔(じゃま)しないように、がんばってます」
松下陽斗(はると)は、はにかみながら、
生真面目(きまじめ)にいって、わらった。

「クラッシュ・ビートは、本当に、
最強のロックバンド、ビートルズみたいですよね。
ハーモニー(和声)も、ビートルズのように、
超うつくしいですよね。ねえ、会場のみなさん!」

といって、店長の佐野が、声を出してわらった。
会場からは「そうだ!そうだ!」とかの、声援や、
ざわめきや、わらい声がわきおこる。
店長・佐野の明るい性格は、いつも会場のムードを
盛り上げていた。

「ドラムの森川純さん、会場のみなさまに、
何かひとことを!」と店長・佐野。

「みなさん、今夜は、本当にありがとうございます。
最高の音楽を目指しますので、お楽しみください」
と森川純は笑顔でいった。

「ベースの高田翔太さん、ひとこと、どうぞ」

「こんなに、おおぜい、お集まりいただいて、感激しています。
楽しんでいただけるように、ベストで、いきます」と高田翔太。

「リードギターの岡村明さん、なにか、どうぞ」

「いやー、感激ですよね。こんなたくさんのみなさんの中で
ライブするの、はじめてじゃないかな。
いやー、緊張しちゃいます。ハハハ・・」と岡村明はわらった。

「リズムギターの川口信也さんも、どうぞ、ひとこと」

「この下北沢で、このメンバーで、大切なみなさまと、
楽しい、ひとときを、過ごせることに、感動しています。
ベストのパフォーマンスでゆきます!」

と、川口信也は笑顔で、力強く、いう。

≪つづく≫ 
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