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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
四十七話 歪み・綻び
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ーだってさ、ウジウジ悩んでもやっちゃった事はどうしようもないしね。それにウダウダ考えるのは僕らしくないでしょ?」

「「「「 確かに 」」」」

 あっけらかんと言い放つ虚空の弁に妙に納得してしまう神奈子達。

「……何をしているの貴方達?」

 突然襖が開き顔を覗かせた豊姫が室内の異様に首を傾げながらそんな問いを投げかける。

「……気にしないでください―――それより姉上、永琳様の御用は済んだのですか?」

 依姫の問いに豊姫は「えぇ」と返すと襖を大きく開き自分の後ろに居た人物を部屋へと招き入れる。そこにはボサボサだった髪を綺麗に整え三つ編みにしている永琳が立っていた。
 虚空の記憶の中にある姿と寸々違わずその姿を見て虚空は本当の意味で願いが叶った事を実感していた。

「……やっぱり永琳はその髪型が似合うね、というか落ち着くと言うか」

「ふふふ、ありがとうお兄様」

 永琳は迷う事無く虚空の傍まで進むとその隣に腰を下ろす。自分にとってその場所が当たり前だというように。

「大体の事は依姫達から聞いたかしら?」

「聞いたよ、そして自分の間抜けさ加減にに驚いている所だよ」

「あら?そういう所がお兄様らしさよ、そもそもお間抜けじゃないお兄様なんて想像出来ないわ♪――――変わっていなくて安心したわ」

 微笑みながらそんな事を口にする永琳。一見小馬鹿にしている様な言葉も互いの信頼の上から出るものだ。依姫や豊姫にしてみれば記憶の彼方にある懐かしい光景、そして永琳の本当の笑顔を見た瞬間だった。

「そういえば僕のゴタゴタで忘れていたけど―――――神奈子、騒ぎの原因は何だったの?」

 永琳との再会ですっかり忘れていた事を思い出し虚空は神奈子にそう問いかけた。すると答えたのは神奈子ではなく顔色を変えた天照達だった。

「そうでした!大切な事を忘れていました!」

「虚空さん……実は――――輝夜が行方不明になったんです」

 叫び声を上げて取り乱す天照達に代わり豊姫がそう虚空に告げる。

「輝夜ってあの輝夜?行方不明って……もしかして攫われたのッ!」

 更に懐かしい名前が出てきた事と行方不明という単語に虚空は驚きの声を上げそう問い返すが、

「……え、え〜とその〜そ、そういう訳ではなくて……え〜……」

 依姫は何故かしどろもどろになり視線を泳がせている。豊姫も顔をひくつかせながら無言になる。

「大丈夫よお兄様、別に攫われた訳じゃないわ。―――――()()()()()で出て行ったのよ、つまりは家出ね」

 言葉に詰まる二人に代わり永琳が冷静な口調でそう告げる。

「……なんで?」

 虚空は短くそう問いかける。そもそもどうして此
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