第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十七話 歪み・綻び
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「虚空さん……その――――気にし過ぎない方がいいですよ?」
「…………ここまで自分が間抜けだと思った事は未だかつて無いよ」
二十畳程の広間の上座で虚空は頭を抱え突っ伏していた。そして虚空の斜め向かいに腰を下ろしている依姫が苦笑いを浮べながら気遣いの言葉をかけてはいる。
あの後、混乱する場を鎮めたのは遅れてやってきた神奈子だった。とりあえず落ち着きましょう、と言う事で広間に移動し状況の確認をしたのだ。
まず虚空が月の英雄譚の本人である事が判明すると月詠と須佐之男が平伏してしまった。本人達曰く「今まで気付かず失礼をした」との事だが虚空にしてみれば月で自分が英雄扱いされている事を知るわけも無く知った所で態度を変えるつもりも無い。
それに死んだと思っている相手が、ましてや遥か昔の人物が生きている事を考えるなんて普通はありえない。故に虚空は二人に今まで通りに接して欲しい、と頼んだ。
二人は幾分か戸惑いを見せたが最終的には納得したのだが天照に於いては終始険しい眼差しで虚空を睨み続けていた。
逆に虚空を驚かせたのは天照達が迦具土の子供だという事実だ。危うく「あの幼女趣味の人が結婚出来たの!!」と口走る所だった。もしそんな事を口走っていたらきっと月から虚空を殺しに来たことだろう。
成長した依姫や豊姫との再会も虚空を喜ばせたのだが此処で虚空の気分はどん底へと転げ落ちたのだ。
理由は大和が月の組織であると発覚した為。
「……百年――――生きて来た年数にすれば短いけど……まさかこんなに近くに関係者が居たなんて!……いや確かに一番最初から天照と仲違いして疎遠になったのは僕の責任なんだけどさ……ここまで墓穴を掘るなんて!」
両手で頭を抱え畳に額を打ち付ける虚空に依姫や月詠、須佐之男、神奈子達はかける言葉が見つからずただ眺めているしか出来なかった。只一人天照だけは興味無さげに見つめていたが。
永琳はこの部屋に移動する際何か用が出来たらしく豊姫を伴って別室へと向かっており今は居ない。彼女がいれば虚空に何か言葉をかけるのだろうが居ない以上どうする事も出来ない。
「僕はッ!僕はッ!何て間抜け野朗なんだッ!!―――――――――――まぁいいか」
深刻な顔で叫び声をあげた虚空であったが数瞬後には何時も通りのヘラヘラ笑いを浮かべそう言った。空気に呑まれていた依姫達は行き成りの虚空の雰囲気の変化に畳の上でズッコケている。
「……一瞬でもあんたが落ち込むと思った自分が情けないね」
神奈子がズッコケたままの体勢でそんな呟きを盛らすと他の四人も同意するかのように首を縦に振っていた。
「いや
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