暁 〜小説投稿サイト〜
東方攻勢録
第三話
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 尾行をされているとは微塵も思っていない四人は、当初の予定通り工作が出来そうな建物、特に武器庫など爆発物が保管されていそうな建物を探しながら、基地の中を早歩きで進んでいた。
「うーん……どの建物も同じような作りになってて、何の建物か分かりませんね……」
 周囲の建物はどれも小さな窓がいくつもついてあり、見た目からして捕虜を収容する施設のようなものばかりだ。大きな扉がついていたり、特別大きく造られている様子もない。それどころか建物は兵士と捕虜の人間が何度も行き来をしている。
 そこから十分ほど歩いても、見えてくる建物はさっきと同じようなものばかりだ。このままでは俊司達の突入が遅れてしまうだけでなく、見つかってしまう可能性も高くなってしまう。四人には次第に焦りの色が見え始めていた。
「どうしよっかお姉ちゃん」
「これ以上時間をかけてしまっては……とはいえど、目ぼしい建物は見当たらないし、何より近寄りがたいわね」
「さとりさんもですか?」
「えっ鈴仙もなのか!」
 どうやら四人とも建物の中に入るのに抵抗を感じているようだった。それもただならぬ雰囲気を感じてとかの理由はなく、ただなんとなく入りたくないと思っているからだ。
「どうしてでしょうか……」
「……とりあえず進もう」
 四人は不振に思いながらも、目的を果たすことを考えて進んでいく。
 それからさらに十分ほど経ったころ、四人はようやく目ぼしい建物を見つけていた。
「……あの建物はどうでしょうか」
 鈴仙が指をさしたところにあった建物は、周囲の建物と比べると少しばかり大きな造りになっており、それでいて白色で外壁を塗った建物だった。周りの建物はすべて少し黒に近く、それをさらに茶色い水で濁らせたような色をしているので、見つけた建物の存在感はすごく大きい。
「もう時間もないし、一度中に入ってみようよ!」
「そうね。行きましょう」
 四人はそのまま建物の中に入っていく。扉の横にかかれた『アンドロイド研究施設』という文字に気付かずに……。
 建物の内部は機械が多く並べられており、地下につながっているであろう階段が見えていた。一階二階ともに小さな部屋がいくつも造られており、その内部にはアンドロイドと、その残骸であろうスクラップになった鉄の塊が保管されている。
 二階の奥の部屋だけは少し大きな造りになっており、大きなモニターやキーボード・モニターが付いた機械がいくつも置かれていた。
「アンドロイドの研究でもしてたんだろうな……あとこの機械、霧の湖で使ってたのとおなじだね」
「チップの製造に使われていたんですか?」
「そんな感じ。正確に言えばチップの取り付けに使われる機械なんだけどね」
 にとりは機械のスイッチを入れると、キーボードを使って何かを調べ始めていた。
「……昨日か」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ