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Fate/EXTRA〜もう一人のアーサー王〜
始まりの予選
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目が覚めた時、俺は机に突っ伏した状態で寝ていた。体を起こし、ボヤけた視界を元に戻そうと目を擦る。その時、ふとあの浜辺のことを思い出した。そういえば、結局あれは何だったのだろうか。夢?いや、夢にしては妙にリアルだったような…。

俺はそう思いながら辺りを見渡した。綺麗に並べられた机。教卓に黒板。それにロッカー。どう見てもここは教室だった。しかし、人が一人もいない。

妙な感覚だ。もしかしたらイベントでもあって誰もいないのか。それとも今日は祝日か何かで休みとか。不安に襲われる自分を必死に誤魔化そうと思考する俺。黒板の上に設置されてる時計を見てみると時間は九時を指していた。

とにかく辺りを散策することに越したことはない。なんて言ったって、ここは俺の知る学校ではないようだ。俺の学校の制服は黒だったが、今俺が着ている服はベージュ掛かった制服だ。たぶんここの学校のモノだろう。

俺はそう思いながら席を立つと、教室を出た。

その瞬間、

「ッ!?」

頭を割るような痛みが走った。キーンとノイズが甲高く鳴り響き、脳の中心部にまでそれは届いた。激痛だった。まるで脳の中に直接針を突っ込まれてかき回されているような気分がした。

痛みを堪えて、周りを見て回すが人が歩いているような気配はない。自力で誰か探すしかないようだ。

「くっ…!」

俺は壁を伝って歩いていく。幸い近くに階段があった。そこを下って行けば人に出会えるかもしれない。俺はその微かな希望を持って階段へと向かっていく。

階段を降りると三つに道は分かれていた。俺は頭を押さえながら、左、前、右と順番に視線を向けていく。すると、右の通路の奥の方で人影が見えた。その人影はすぐに右へと曲がって行ってどんな人かはよく分からなかったが、早く助けてもらおうと思い、その人のもとへ追いかける。

急いで急いで急いで急いで。

頭が悲鳴を上げる中、俺は必死にその人に助けてもらおうとしていた。保健室に行くという考えも浮かばないくらいにだ。

そして、着いた。さっき人影が見えた場所に…。

しかし、そこに人はいなかった。曲がり角の少し先にも何の変哲もないただの壁が立ちふさがっているだけ。

確かに、さっきまでここに人がいた。俺はこの目で見た。何か壁に細工でもされているのかもしれない。

俺はそう思い、前を塞ぐ壁をペチペチと触れた。

その時だった。

「ッ!?」

壁に触れている手が泥にでも吸い込まれるように飲み込まれた。必死に手を抜こうとする俺だったが、壁自体に意思があるみたいに俺の腕をどんどんと引きずりこんでいく。

「だ、誰かぁ!助けてくれぇぇ!!」

その叫び声も虚しく、とうとう俺の体は完璧に飲み込まれた。


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