3章 家族
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れも和ちゃんも少年のころから抜け出せないだけかな。
なあ、和ちゃん」と森川誠。
「まあ、そういうことになるだろうね」と清原和幸。
森川誠と清原和幸は、少年のようにわらった。
清原和幸と森川誠は、同じ年で、
小中高まで、学校も同じで、幼なじみ、遊び仲間の、
無二の親友だった。
森川誠の足もとに、白に薄い茶色のまじった毛の、
6歳の雌のポメラニアンが匂いをかぐように、
すりよってくる。
「ラムちゃん、元気かな。夏向きに、きれいに毛をカットしてもらったね」
森川は、ふさふさの長い毛の、しっぽをふる、ポメラニアンのラムを、
ちょっと、なでる。
朝と晩の、ラムの散歩は、雨の日以外は、必ず、
家族の誰かとする日課であった。
散歩のコースは、クルマの少ない静かな小道だった。
1週間に1度のペースで、スローなジョギングをする、
森川誠や清原和幸たちのコースと、ほぼ同じ小道だった。
ふたりは、30代後半あたりから、タバコをやめて、
健康のために、時には、一緒にだったり、
個々にだったりと、ジョギングを始めた。
ふたりは、白髪が、ちらちらと目立つ今も続けている。
リビングの中ほどにあるキッチンでは、
美樹と姉の美咲が料理をつくっていた。
「こんにちは、森川さん」と美樹はいう。
「こんにちは」と美咲。
美樹と美咲は、笑顔で挨拶した。
姉の美咲は、大学を卒業したばかりの、23歳だった。
「いま、おいしいものを、つくってますからね」と美咲。
「よろしく、お願いします、美咲ちゃん、美樹ちゃん。
お二人は、いつのまにか。おとなっぽくなって、
ますます、きれいになっていくから、
いつも、お会いするのが楽しみなんですよ」
森川誠は、ちょっと足を止めて、姉妹を見つめた。
「森川さんったら、褒めるのが、
お上手なんだから」と美咲はわらった。
「ほんと、ほんと。あぶない、あぶない。
女性のあつかい上手な森川さんは、ちょっと危険な感じ」
といって、美樹もわらった。
「あら、あなたたち、なんということをいっているの。
森川さんは、本心しか、お話なさらないのよ。
いつだって、真実、ひとすじで、とても誠実な社長さんんだから」
と母の美穂子は、自分もこみあげそうな、
わらいを押さえるようにして、そういった。
「真実ひとすじですかあ。ははは、まいった、まいった」
森川誠は、大きな声でわらって、照れるように頭に手をやった。
美穂子と美咲と美樹が料理をつくっているキッチンの隣には、
椅子が8つと、四角
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ