蘭子『それはきっとやきもちやいてるんだよ』
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五月三日以来、志乃は俺と口を利かなくなった。というか、目を合わせようともしない。それが俺にとって苦痛以外の何物でも無く、ゴールデンウィークの期間をずっとモヤモヤさせていた。
そう、ついに俺達はゴールデンウィーク中一回も会話しなかったのである。
こんな思いをしたのは初めてだ。何故なら、俺と志乃はこれまで仲良く生活していたわけじゃなかったからだ。
少し前なら、悩むどころか気にも留めたりもしなかっただろう。いきなり『今から志乃と話そう!』だなんて考え出したら、誰が見ても気持ち悪い。俺だって嫌だよ、そんなの。
でも、今と前では話が違う。俺達は協力して一つの物を作り上げるという目的があるのだ。
俺はあの日から、行動で示そうと志乃をカラオケに誘ったり、マイクを探したりしていたのだが、あいつは俺の行動を特に気にせず、ずっと部屋に籠もっていた。あいつが自分の部屋で何をしているのかは点で検討が付かない。強いて言える事なら、深夜にピアノを弾いている事ぐらいだ。
ちなみに、カラオケに誘った時は無視された。仕方なく一人で行ったが調子が狂い、一度七〇点という俺崩壊な点数が表示されたのを機に店を出た。
また、この超休暇を利用してマイクを探しまくったのだが、どこに行っても売っていなかった。一件だけそのマイクを取り扱っている店があったのだが、俺が行った前日に誰かが買ったらしい。それを聞いた時は軽いショックを受け、家に帰って茫然としていた。
これらをまとめると、俺はこの大事な休みを自分でぶち壊し、全く有意義な生活を送れなかったわけである。
明日からは学校。これだけの時間があれば、今頃動画作りの準備も捗っていただろうに。そう考えるだけで、胸が張り裂けそうになる。
それでも、俺は諦める事は出来ない。今日はゴールデンウィーク最終日の午前。まだ時間はある。ネットでググって少しでも多くの店見つけて、マイクを購入してやる。
少しでも前に進めるなら、県を越えてでもな。
*****
どうして素直になれないんだろう。どうして強く当たっちゃうんだろう。
考えても分からない。ただムカムカする。でも、それは違う。兄貴は悪くない。全部、兄貴の隣にいた女狐がいけないんだから。
でも、私の言動から、態度から、行動から、本当の想いとは正反対に転がってしまう。何故か兄貴に対して怒った口調をしてしまう。
私はそれを、メールで五十嵐さんに聞いてみた。すると、直後に返信が返ってきて読んでみた。
『それはきっとやきもち焼いてるんだよ!』
こうしてはっきり言われると何だか恥ずかしい。でも、そうなのかもと思う。
私は昔、兄貴が好きだった。でも、私のせいで関係が崩れて、その後はそれでも仕
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