志乃「兄貴なんて知らない」
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って、血がこびりついた服から着替えた。買ったのは白の清楚コーデだった。清楚の名の通り、そこまで目立つわけでも無く、それでいて可愛さを保っている。てっきり、露出度の高い服を選ぶと思っていた俺は少々驚いたが、あえてそれを口にはしない。素直に褒めたら調子に乗るからだ。
途中、ビッゴカメラ内で迷子になったフリをして抜け出そうとしたのだが、あいつはとんでもない事をして俺を捕まえた。迷子案内センターから呼び出したのである。
「葉山伊月君、葉山伊月君。県立藤崎高校一年の葉山伊月君。まだこの店内にいたら、一階の迷子案内センターに来てね〜」
さっきと同じ、俺の個人情報をバラす作戦か。この際どうでも良くなったので、俺は無視してデパートから出ようとしたのだが――
「もし無視するなら、さっきの事をここでぶちまけて、精神ズタボロにしたいと思いまーす。それとも、葉山君は私の身体に手を出したいけど言えなくて逃げ出しちゃったのかな?」
係員、どうしても止めない!あの腐れビッチを自由にさせちゃダメだろ!つか、余計行きにくくなったよ!
結果、俺は顔を俯けながら案内センターに向かい、本山と合流した。あの時の女性係員の優しげな顔が、俺の精神を必要以上に抉ってくれた。
それから、俺は本山の希望によりファッション系の店に入ったり、ゲームセンターで遊んだりしていた。その時も、周囲から本山への視線を感じ、ものすごく窮屈感を味わった。皆、隣にいる俺を「何あの冴えない男」みたいな目で見ている気がして仕方が無かった。
そしてお昼の時間になったところで、本山は俺に昼食を食べる事を提案してきた。どうやらまだ俺を解放してくれるわけでは無いらしい。
「で、どこで食べるんだ?」
「葉山君はどこで食べたい?」
「俺は本来駅そばが良かったんだけど……」
「せっかく可愛い女の子と一緒なんだから、もっと洒落てる所にしようよぉ」
自分で可愛い女の子と言うか。さすが腹黒腐れビッチ、堂々としていて逆に恐ろしい。
にしても、洒落てる店ね。そんなの、駅前のズタバかビッゴカメラの地下ぐらいだぞ。ズタバに関しては高いし。
それを本山に聞いてみると、笑顔でこう言った。
「じゃあ、ズタバ行こう!」
「マジで?」
さっきの服はあいつが自腹だったけど、今度は俺に払わせる気じゃないだろうな?お茶飲むぐらい奢ってよ的な感じで。
と思ったら、返答は意外なものだった。
「ああ、安心して。自分のお金は自分で払うから」
「へぇ」
「今、こいつ意外だなって思ったでしょ」
「よく分かったじゃん」
「まぁね」
そして、一拍置いて本山が言葉を紡いだ。
「お金の貸し借り
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