志乃「兄貴なんて知らない」
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し、本山は言い放つ。
「さっきまでの事、クラスの皆に言うとしたら、葉山君はどうするの?」
……やられた。でも、ここまで計算されてたとは思いたく無い。それこそ、俺の考え全部を否定されたのと同然なんだから。しかし、それにしても、これは酷すぎる。本当にやり返されたと、心の底からそう思う。
これをクラスメイト(本山ファン)が知ったら。想像するだけで俺がフルボッコにされている姿が目に浮かぶ。志乃はきっと「グッジョブ」とか言って喜ぶのかもしれないけど。
まさか、俺の学校での状態を利用してくるとは。確かに、俺は妬まれているだけで嫌がらせなどは受けていない。それは俺が年上だからか、本気で嫌がっているのが伝わるからか、それは分からない。
でも、この情報が奴らに知れれば、正式に物理的な攻撃が開始されるだろう。女子からは、ピンチな女子を見捨てたクズとして、男子からは、本山とお出かけ(デート)したリア充クソ野郎として。どっちにしても、俺に待ち受ける結果は不幸でしかない。いや待て、俺がこいつとお出かけをした件については目撃証言が出る可能性が……。
「お前、俺らが一緒に見られたらどうする気?」
「大丈夫、今日はこの辺と周りの街にクラスメイトいないから」
え、それどういうこと?全く意味が分からないんだけど。
「皆、今日この区域にテロリストが来るって言ったら、素直に聞いてくれたから」
「従順すぎる!」
うちのクラスメイト大丈夫か?そんな嘘丸見えなネタで釣られるなんて。まぁ、中には志乃とか五十嵐みたいに普通な奴もいるから、完全ってわけにはいかないだろうけどさ。
「で、葉山君は私に付き合ってくれるの?」
言い方がグレードアップした気がするが、あえて無視しておく。
ここで、自分の用事を優先するか、自分のこの先の学校生活を優先するか、頭の中で天秤に掛けてみる。どちらも俺にとっては大切な事だ。だが、今日一日で済むのと今後ずっとしこりが残るので話はだいぶ変わってくる。
悩むだけ悩んで、俺は最終的な答えを吐き出した。
「……分かった。でも、一時間ぐらいな」
「せめて四時間」
「長すぎるわ!」
「文句言うならぁ〜」
「ああもうウゼェ!分かったから!」
半ばキレ気味にそう返す。だが、そんな俺の様子に歯牙も掛けず、本山は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう!じゃあ、一緒に行きましょ!」
そうして、俺のゴールデンウィーク初日は、本山由実という一人の女によって征服された。
……そんな俺達が最初に行ったのは、本山の手を消毒する事だったが。
*****
その後、俺は見知った地元を本山に振り回された。最初は洋服店に行
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ