由実「葉山君って、本当に変わってるよね」
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にアクセスし、近くにそれらしきものがあるか探してみる。すると、すぐに検索結果が出された。
この近くに楽器を取り扱う店は無い。だが、隣町にまで行けば駅の近くに一件だけ経営しているようだ。
隣町にまで行くのは面倒な気もしたのだが、雑多に多くの物を販売している量販店よりは可能性がある気がする。俺は地元にある量販店に行って、目的のマイクが無かったら隣町の専門店に行く事にした。
そうと決まれば、支度しないとな。
*****
リビングに行くと、母さんがコス作りを、志乃が朝飯のパンをチビチビ食べていた。寝ぼけ眼なその顔は、まだ寝足りないといった感じだった。
先に朝飯は済ませてあった俺は、志乃に今日の予定を伝えた。
「今日、マイク探してくるわ。志乃はどうする?」
俺としては、志乃がいた方が道に困らずに済むから一緒に来てほしかったが、志乃はゆっくりとこちらを向いて、自分の意見を口にした。
「私は別の所を探す。連絡取り合ってマイク見つけた方が効率が良い」
「そっか。分かった。じゃあ俺は駅のビッゴカメラとか他の所見てくるから、連絡頼むな」
「うん」
志乃の返事を聞いた後、軽く支度を済ませて家を出る。ここから駅までは自転車で五分程度。ちゃっちゃと見て専門店に行こう。もし見つかったら早く準備を始められるわけだし。
俺は心中に溢れる高揚や期待を抑え、静かに自転車を漕ぎだした。
*****
家を出てから数分で駅周辺に辿り着く。前まで止めていた駐輪場に自転車を置き、荷物の無い身軽な身体を前進させる。所持品は携帯と財布と……あれ。携帯が無い。もしかして置いてきた?
参ったな。これじゃ志乃と連絡が取れない。つか、志乃の外出時間聞き忘れちまった。これじゃすれ違いになっちまう。
さっきまでの気分が一気に萎える。仕方ない。取りに帰ろう。全く、こんな時に何をしてんだか。
俺はトボトボと駐輪場に戻り、自分の自転車のロックを解いて走り出す。この帰り道で志乃と会えれば良いんだけど。もしかしたらあいつが俺に届けてくれるかも……いや、それは無いな。
さっき通った道を引き返していく。まぁ別に、今日は始まったばっかりだ。時間はいくらでもある。
そう自分に言い聞かせながら、家までの道のりを漕いでいると――
「きゃっ!離して!」
「姉ちゃんが俺達に見せ付けっからいけねぇんだろ?ああ?」
「はい、大人しく一緒に来ようね〜」
「つか、お前自分からぶつかりに来たよな?これ喧嘩売ってんだよな?」
道路の反対側、俺から見れば右斜めにある黄色いビルの入り口付近で、三人の男が一人の女性を囲んでいた。男達は、いかにもな服装やタトゥーのよう
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