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【短編集】現実だってファンタジー
デフォルト・フェイス
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もオウム返しの悪戯かもしれない。もう少し具体的に聞いてみなければ、この異常な光景に関しても何かわかるかもしれない。
いつのまにか、私は彼らがおかしい証拠を求めていた。自分が正常で彼らがおかしいのだと証明する証拠を求めていた。

『何故、ここの皆さんは同じアバターの顔をしているのですか?』
『>>目立ちたくないからです』
『それは何故?』
『>>目立つといいことはありません。目立って称賛される可能性はありますが、その逆の可能性はもっと高いです。だから私たちは固有のアバターを作りません』

何と返信すればいいか分からなくなって、息が詰った。
そんな風に自分を仕舞い込んでまで、その「逆の可能性」とやらは畏れるほどの事だろうか。不特定多数の人間が集まるネットの場においては確かにローカルルールや暗黙の了解を知らない人間が袋叩きのようにされることはある。だがそこまでされたくないなら、そもそもゲームをやらなければいいのではないだろうか。多人数型オンラインゲームなのだ、誰にも鬱陶しがられないということに拘る必要性は感じられない。
その事を伝えようとして、思い止まる。
この手のコミュニケーションツールは自分や相手の伝えたい事がすべて文字に表れていて、尚且つそれを相手が理解できるとは限らない。私のオクッタ意見も、彼らにとっては酷く偏った思想に映るかもしれない。キーボードに途中まで打ち込んでいた文字を消して、別の言葉を打ち込む。

『何故、ここの皆さんはオープンチャットを使わないのですか?』
『>>オープンチャットの表示は私たちが話をしたい相手以外にも見えてしまうので、普通は使いません。言葉と違って文字のチャットは読み返すことが出来ますし、ログが残ります。そのことを気にしない間柄ならともかく、他の人にまで見せるのは普通は恥ずかしいです』
『今のあなたは私とチャットを交わして平気なのですか?』
『>>20人の友達と話し合って平等に話し合った結果、ここで会話をしないのは変だという結論が出ました。また、20人全員があなたにオープンチャットで一斉に話しかけるのも変だという結論が出ました。友達の友達の間でも同じ結論が出ました。そのため、先ほどこの世界に存在する「抽選器」というアイテムで、あなたの近くにいるプレイヤーを抽選にかけ、選ばれた私が受け答えすることになりました。これは普通な事です』
『フレンドが20人であるという個人情報が洩れましたけど?』
『>>私たちは20人までしかフレンドを登録しないことにしています。また、他の人が登録しているフレンドと5人以上被らないように登録を行うことになっています。この場にいる全員が20人のフレンドを持っていますが、フレンドのフレンドを辿れば全体と人間関係が繋がっています。フレンドの数にも差は出ない。フレンド内では例え
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