デフォルト・フェイス
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草原、川、果ては山までいろんなものを作ってこの世界を開拓出来る。お金次第でプレイヤーの思うままに開発することが出来る。
プレイヤー間でのお金の貸し借りは出来るが、プレイヤーから金を奪う直接的な手段は存在せず、戦いの要素は一切存在しない。何とも退屈そうなゲームにも思えたが、それでも実際に形成された街を見てみると結構な大きさになっている。
金を用意するのもアイテム、オブジェクトを配布するのも運営のみ。他にイベントもなければ拾えるものがある訳でもない。完全な運営依存というのは、まるで運営がこの町を支配しているようでもある。であるならば、街づくりは自分の支配する世界を奴隷に作らせているのか。などとおかしなことを考えた。
ゲームとしての最終目的について運営は何も言わない。バグがあれば修正してくれるし、要望があれば新たなオブジェクトを追加してくれることもある。ただそこで思うように過ごせばいい、とだけ言われて、私は取り敢えずゲームをスタートしてみる。
「結構でかい街だなぁ。この辺は普通の鉄筋コンクリとか道路とか……いかにも町って感じ」
見覚えのない看板ばかりが無秩序に並んでいるのに、全てを通してみれば何故か統一感のようなものを感じる。それが都会の風景の不思議な所だ。誰もかれもが自分の目的のために建てている筈なのに、結局のところ建築様式は全て同じ。例え違うものが混じっていても、それはビルとビルの隙間に挟まれて見えはしない。
しかし、プレイヤーがいない。
ゲーム内にモブの類は一切いないとは聞いていたが、この町には見た所人が見当たらなかった。本来なら都会など掃いて捨てるほどに人がいるのが普通なのに、何故いないのだろうか。プレイヤー総数が少ないから、別の場所に人が集中しているという可能性もあったが、人がいないと途端に人工物が不気味に思えてくる。
と、他のプレイヤーが前から歩いてきた。
男性アバターだ。顔は、初期のアバター作成画面で最初に表示されたデフォルトの顔そのまま。
「……なんで、デフォルト顔?」
こちらの存在に興味があるのかどうかも分からないそのプレイヤーはそのまま通り過ぎて行った。なぜアバターがデフォルトのままなのだろう。それでは他と区別がつかないし、このゲームは後からフォリンを使ってアバターの姿を造り替えることも出来ると聞いている。なのに、何故だろうか。
「変なひと。あれじゃ悪目立ちするだけじゃないの?」
表情の変わらないデフォルト顔に内心で密かに「デフォ顔」という仇名をつけながらも、私はそのまま運営が定期的に開く「マジョリティ・ゲーム」とやらが行われる場所へキャラクターを進めた。
数分歩くことで漸く辿り着いた「デフォルトタワー」の前には既に多くのプレイヤーが集まっていた。
私もそ
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