用心棒‐グレンファイヤー-part1/アルビオンへ
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ある。あの顔は…。
その少年に向かって、怪物が放った破滅の光は眼前にまで接近し、すべてを食らう炎となって飲み込んでいった…。
「!」
テファは起き上がった。気が付くと、もう朝日が窓から差し込んでいた。
呼吸が嫌にも荒い。汗で体中もベタついている。なんて嫌な夢なのだろうか。それも、これまで悪夢を見たことがあるが、今回のはそれらの比じゃなかった。見たこともない魔物…いや、悪魔が殺戮を楽しみながら街を破壊していく夢だなんて。でも、あの街はなんだったのだろう。ずっと森の中で生きてきた自分はハルケギニアの世間と言うものをこれと言って知らない。でも不思議なことに、あの街がなんとなく、ハルケギニアのそれとは根本的に異なるものに捉えることができた気がした。
どうして、あんな夢を見たのだろうか。
確か、マチルダ姉さんが言ってた。使い魔と主人は視野と聴覚を共有することがあると。
じゃあ、あの夢はもしかして…。
…いや、今は起きよう。起きて子供たちやシュウのために朝ごはんを作らなくては。服を着たテファはせっせと支度して簡素な厨房へと向かって行った。
が、今の椅子に掛けていたエプロンを手に取った途端、彼女はそれを落とした。視線の先には扉の開かれた玄関が、そして…。
「姉さん…シュウ!?」
マチルダに肩を借りていたシュウの姿があった。シュウの体は人ひとりが持つには重い。マチルダがレビテーションの魔法で宙に浮かせて運んできたのだろう。いや、そんなことよりも彼のことだった。シュウの意識はなく、全身がところどころ酷いやけどを負っていたのだ。まるで、自ら火の中に飛び込んだような、酷い有様だった。
「酷いやけど…何があったの!?」
「んなことはいいんだよ!早く冷水と薬を用意しな!」
かなりひどく慌てた様子で、マチルダはテファに言う。そうだ、シュウがこんな状態になった理由よりも、彼の体の方だ。
この日のこの村はあわただしかった。ラフレイアが大爆発によってダメージを負ったネクサス=シュウは変身したままの状態でマチルダと共に村へ帰ったのだが、街を爆発から守った時に受けたダメージが大き過ぎた上に、無理をしてマチルダを変身したまま連れ帰ったこともあって、我慢していたダメージと疲労がぶり返したのだ。
ベッドに寝かされたシュウは、上着を脱がされ、上半身におびただしいやけどが露わになった。心優しいテファには、この時のシュウの姿はあまりにも痛々しくて、かわいそうだった。少しでも痛みを和らげて上げるために、冷水に塗らして絞ったタオルで彼の体中を拭いて行く。
子供たちも心配そうにシュウを見舞いに来てくれた。あまり見せたくなかったのだが、どうしてもと子供たちが彼の様子を見に来たのだ。
「お姉ちゃん…シュウ兄、大丈夫?」
「大丈夫よ、だからお姉ちゃんに任せて
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