第十四章
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第十四章
「私も奈緒が好きよ」
「美香・・・・・・」
「だから。奈緒の考えていることは今はよくわかるわ」
上目遣いではなくなっていた。静かに奈緒を見つつ言葉を続けるのだった。
「私に。幸せになって欲しいのよね」
「そうよ」
しっかりとした言葉だった。
「絶対にね。何があっても」
「それは。私もだから」
「あんたもだったの」
「ええ。多分今私が奈緒と同じ場所にいたら同じ心配したと思う」
今まではわからなかったが今ではこのこともわかるのだった。
「奈緒に。幸せになって欲しいから。だから」
「心配だったのよ」
奈緒の言葉が少しだけ弱まった。
「歳が離れているから。だから」
「今はどう思っているの？」
「なれるわ」
微笑む奈緒だった。
「先生とならね。絶対にね」
「いいのね。それじゃあ」
「よく考えたのよね」
「ええ」
こくりと納得した顔で頷いてみせた。
「そうよ。絶対にね」
「じゃあ。本当に」
「いいわ」
また答える奈緒だった。
「もうね。私は」
「奈緒・・・・・・」
「私はもういいわ」
微笑んでいた。
「先生」
「はい」
また先生に顔を向ける。先生は穏やかな顔でそこにいた。
「必ず。美香さんを」
「御願いします」
「有り難う、奈緒」
微笑む美香だった。
「じゃあ今からね」
「けれど絶対よ」
また美香に対して話す。
「幸せになりなさいよ」
「わかったわ。それじゃあ」
「まずは美香が幸せになって」
微笑んだ言葉をまた美香にかける。
「いいわね」
「ええ。次は」
「次！？」
美香の言葉に目を少し丸くさせた。
「次って何が？」
「だから。私が幸せになるじゃない」
「ええ」
「次は奈緒ね」
純粋な、曇りのない笑顔で親友に告げるのだった。
「奈緒が幸せになる番ね」
「私が」
「そうよ。今度はね。だって」
「だって？」
「私が幸せになったから。次に決まってるじゃない」
「有り難う」
今の美香の言葉に純粋に微笑む奈緒だった。
「だったら御言葉に甘えてね」
「今の彼氏。大事にしなさいよ」
「わかったわ、絶対にね」
笑顔で言い合う二人だった。その美香の横で先生は笑顔のままだ。幸せは幾らお互いの歳が離れていてもなるのだった。お互いを信じ合い幸せでありたいと思う限り。必ず。
歳の差なんて 完
２００８・１０・２
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