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歳の差なんて
第十章
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こと?」
「その通り」
 逃げるのは許さないといった口調だった。
「その通りよ。そこはどうなの?」
「そう言われると」
「怒ったりどうとかはしないから」
 このことを保障してみせた。
「そこは安心して」
「絶対なのね」
「女に二言はないわ」
 これまでになく強い断言だった。
「絶対にね」
「わかったわ。じゃあ」
 奈緒のその言葉を聞いて意を決した顔になる奈緒だった。
「それじゃあね」
「どうなの?」
「今はそこまではいってないわ」
 本当に正直に述べた美香だった。
「それはね」
「ないの」
「今は、だけれど」
 ここで顔を下に向ける美香だった。
「何かこのままいったら本当に好きになりそう。凄くいい人だから」
「そうなの。やっぱりね」
「好きになったら駄目かしら」
「だから。年齢が違うわよ」
 奈緒が言うのはここでもこのことだった。
「あんたはまだ十八、それで先生は」
「三十代も後半でしかも子供さんまでおられるのね」
「本気で付き合う相手としては辛いものがあるわよ」
 また言う奈緒だった。
「それはわかるわよね」
「ううん、確かに」
「それでもいいの?」
 奈緒の顔が少し前に出て来ていた。
「付き合うとなると。それでも」
「それは」
「よく考えなさい」
 また言う奈緒だった。
「よくね。普通の相手じゃないのよ」
「そうなの」
「歳が離れていればそれだけ」 
 またここを強調してきた。
「問題が出るのよ。本人だけの問題じゃないから」
「私だけの問題じゃない」
「そうなのよ。本当によく考えなさい」
 忠告になっていた。
「よくね」
「・・・・・・ええ」
「このことは本当に言っておくから」
 言葉がさらに釘を刺すものになった。

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