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無欠の刃
アカデミー編
夕焼け
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理由は思いつかなかったけれど。それでも、こうしたほうがいいような気がして、カトナは一目散に外に出る。

 明日も試合がある。明後日もだ。
 負けたくはないから勝ち抜くつもりだけれども、最後まで戦ったら戦ったで、他の奴が面倒くさい。ああ、それに、今回みたいに感情が暴走してしまうかもしれない。
 カトナは己の取り乱し様を思い出し、若干気持ちが下がり気味になっていく。
 何て無様だと頭を抱えて、ううと呻く。
 こんな恥ずかしい思いをしないように気を付けているのに。
 最近あの術式がうまく作動していいのかもしれない。今度張りなおさないと。
 そう考えながらカトナは階段を駆け上がる。

 目指すのは、屋上だった。

 アカデミーの屋上はいつもは解放されていないのだが、何らかの行事が開かれた場合、特別に開放されることがある。だが、生徒たちにはそれを知らされていない。生徒が訪れてもいいが、それを教員が教えてはいけない決まりのようだ。

 この決まりが何故制定されたのか、カトナはよくは知らない。
 けれど、去年、同じように大会が開かれたときに、カトナは気晴らしのついでに屋上に訪れて、その決まりを知っていた。
 他の人間がぞろぞろと帰っていく光景を尻目に、カトナはアカデミーの屋上に立って、前を見る。
 すがすがしいほどの赤が広がっていた。
 夕日が目を貫いて、あまりの眩しさにカトナは目を細めた。
 帰ろうと歩き出した人々は、上にいるカトナに全く気が付かない。
 唯一、気が付いているのは、

「…屋上開いてたのか」
「うん」

 カトナの後ろを追っかけてきていたサスケだけだ。
 ナルトはイルカに褒めてもらうと言って追い回していたから、もう少し、帰るまでに時間がかかるだろう。一楽のラーメンをおごってもらうつもりのようだったが、おごってもらえるのだろうか。……迷惑にならないといいけれど。
 そう思いながら、カトナは目の前の景色をうっとりした様子で眺める。

 夕焼けは好きな色だ。
 一面真っ赤に染められて、それは血の色と比べて、とても暖かい。
 でも、ナルトもサスケも、夕焼けはあまり好きではないらしい。
 親につれられて、家に帰っていく子供の姿を見るからかもしれない。自分達には両親がいないのだと、教えられるからかもしれない。
 ナルトにはカトナがいるし、サスケにはイタチが居る。それでもさびしくなってしまうのは、兄弟と両親が違うからだろう。

 二人に比べて、カトナは特にその光景を見て、何か思うことはない、寂しいとは思わない。
 ただ、夕焼けを見ると、酷く幸せな気分になるのだ。
 夕焼けでどんな人でも髪の毛が真っ赤に染められて、自分と同じように感じるからだろうか。
 それとも……。
 カトナはちらりと、歩く
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