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東方大冒録
幻想の、始まり。
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った?」
「よ、よく分からないってあなた……」

紫がなぜかショックを受けてうなだれてしまった。そこで代わりに藍が説明を始める。

「お前の能力は、実は最強といっても過言ではないんだ」
「えっ?」

思いのほか弱そうなこの能力に対して、藍は「最強といっても過言ではない」と言った。
納得できない暗基は藍にどういうことなのかたずねると、藍は話し始めた。

「つまり、お前の1つ目の能力は、自分以外のどんな能力にも影響されないということなんだ。相手のそれが常に自分に降りかかっていることが当たり前だと体が判断するからな。そして、2つ目の能力は、すべてのものに存在している霊力を開放することで、操る事が出来る」
「つっ、つまり、それっておれにものすごく主人公補正がかかっているってことか?」
「そういうこと。どんなものにも影響されないから、相手の能力はほとんどないといってもいい状態になる。だから貴方の出番なの。ご理解いただけたかしら?」

簡単に言うと、どんなに力が強くても、紫達だと何も出来ず全滅してしまう。しかし暗基なら能力に影響されず、好きなだけたたくことが出来る。だから代わりと言ってはなんだが、暗基に頼みたいということなのか。

「なるほどな……。分かった」
「……やる気になっていただけたかしら?」
「いや、ならない」
「そう……、えっ?」

ならない? 今この子そう答えたの? と紫は驚きを隠せなかった。それは藍も同じだったようで、

「よし、それじゃすぐに支度してや……、はぁ!!?」

紫以上の驚きようだった。

「ど、どうしてなの?」
「聞いた話はすべて本当だろうな。よく分からないけど、そんな気がする。おれの能力もそういっているのかもしれない。だけどさ、代わりにって言うのがなんか気に食わないんだ。その「お前が死んだって別に代わりなんていくらでも」みたいな態度がさ」
「「…………!!」」
「なんだてめぇって思ってくれたってかまわない。だけど、おれ的には、絶対成功させてほしいっていう思いがほしい。たとえ死んだって何度でも生き返らせて、1からやってもらうからなってくらい。でも今のお前らには、そんな風に思っているようにはまったく感じられないんだ。だから、そんなんだったらおれはやらない。帰る」

そういって暗基は背を向けて、もと来た道を帰ろうとする。おれの能力なら、このスキマをぶち破って部屋に戻れるだろう。そう思わせるように。からかうつもりで。しかし。

「……、お願いします」
「ゆ……、紫様!!? 何をなさるんですか!!?」

藍が突然取り乱した。その取り乱しようが尋常ではなかったので、後ろを振り返ってみると。

「お願いします!! 私達を……、幻想郷を……、助けてください!! お願いします…
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