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東方大冒録
幻想の、始まり。
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スキマの中は、なんとも表現しがたい不思議な空間だった。それを強引に言葉で表現しようものなら、「ただただ紫色をした不思議な空間」である。

「さぁ、ついたわね」

紫に案内されたのは、スキマの中にある、即興で作りましたって感じが強いスペースだった。そこには、人が4人くらいくつろげそうなスペースと、狐の尻尾を9本も生やしている、着物を着て、帽子をかぶっている女の人がいた。おそらく……。

「紫様、お帰りなさいませ」
「えぇ、ただいま、藍」

やはり。八雲紫の式、八雲藍(やくもらん)だ。九尾という、とても力のある妖怪でありながら、紫の式として仕えている。設定上はそうなっていたはずだ。と暗基が考えていたら、

「君が暗基零だな。私は紫様の式、藍だ。よろしくな」

藍があいさつしてきてしまったので、考えるのを即やめてあいさつする。

「あぁ。名前を知ってたみたいだが、一応、おれは暗基零。暗基優理亜の弟だ。よろしくな藍」
「……、やはりそうだったか……」
「さっ、あいさつは終わったかしら?」

あいさつが終わったと同時に紫が話し出そうとする。

「えぇ。終わりました」
「あぁ、終わったよ。早く、続きを聞かせてくれ」
「わかったわ。えぇと、どこまで話したかしら……。あっ、優理亜が異変を起こしたってところまでだったわね」

あぁ。と暗基は返事をする。

「優理亜が起こした、というより今現在起こしている異変。それは、大雑把に言うと、「今の幻想郷を封印して、優理亜が支配する新しい幻想郷、『真幻想郷』を創り上げる」というものよ」
「今の幻想郷を封印?」
「えぇ。なぜなのかはわからない。でも実際異変を起こした。それに真っ先に気がついたのは、霊夢だったわ」

なるほど。詳しい理由はまったくわからないが、つまり優理亜は「今の幻想郷が気に食わない」ようだ。しかし、ひとつ引っかかることがあった。

「紫。真っ先に気がついたのは霊夢だったって言ったよな?」
「その時点で異変は解決に向かうんじゃないのか。そう言いたいのね?」
「あぁ。それに霊夢が動いたんなら、自然と魔理沙も動くんじゃないのか?」
「……、さすがは外来人ね。もう普通に話をしても問題なさそうね」

というと紫は藍の方を向き、

「藍。見せてあげて」
「はっ。しばらくお待ちください」

藍はそういってスキマ空間の中を飛んでいった。

「藍はどこにいったんだ?」
「まぁ待ちましょう? すぐに来るから。…………、ほら来た」
「零。この祈祷棒と八卦炉を君に託す」

紫の「ほら来た」の言葉と同時に、藍が何かを両手に持って飛んできた。そして暗基に手渡す。すると、

「!!!?」

暗基の能力が、何かを感じ取った。そして、暗基は誰かから
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