第十二章 妖精達の休日
第五話 火は風と交わりて炎となる
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貴族も関係なく、自分の感じたまま、思ったままを行くキュルケの姿はとても清々しく気持ちのいいものだとタバサは感じたからである。そんなキュルケに誇らしさを感じながら、微かに口元に笑みをつくるタバサ。キュルケはタバサの笑みに気付くことなく、指先で“惚れ薬”の入ったハート型の壜をつんつんとつついていた。
「ジェシカとは妙に気が合うって言うか、話が合うって言うか……ま、ああいったタイプとは、合う合わないが激しいんだけど、どうやらジェシカとは合ったようでね。暇な夜とかは、一緒にお酒を飲みながら話をしてたりしてたのよ。シロウを好きになってから、男遊びがなくなったから夜は暇で暇でしょうがないからね。ま、そんな理由で暇があれば一緒に飲んでたりしてたの。それで、この間あの子が帰ってきた後、久々に一緒に飲もうって事になったんだけど、その時最近シロウを狙う女が増えて焦ってるって話をしたらコレをくれたのよ」
「そう」
“惚れ薬”を手に入れた経緯が分かり、安心したタバサは小さく溜め息を吐くと、寄りかかるように背もたれに体重を掛け―――。
「―――それなら、コレでも飲ませて一発ヤレば良いじゃないって」
「ッッ!!??」
そのまま椅子ごと後ろに倒れた。
ゴンッ!! と言う硬い音を立てながら椅子と一緒に倒れたタバサは、頭でも打ったのか、頭を抱えてゴロゴロと床の上を転がり始めた。右へ、左へと転がるタバサを視線で追うキュルケ。痛みが収まったのか、丁度倒れた椅子の近くで回転を止めたタバサに向かって、キュルケは重々しく頷いて見せた。
「安心しなさいタバサ。あたしとあなたで別々に一発よ」
「っっ―――そこじゃないッ!!??」
顔を真っ赤にしながら立ち上がったタバサが、火でも吹きそうな勢いで声を発した。
今にも襲いかかりそうな程いきり立つタバサに、しかしキュルケは軽く手を振ってあしらう。
「はいはい分かってる分かってるって。一発じゃなくても別に言いわよ。好きなだけしなさい。あ、でもジェシカから聞いた話じゃ、シロウってかなり大きいらしいから、あなたじゃ結構キツイと思うのよね。それにあなた初めてでしょ。最初っから飛ばし過ぎるのは止めといた方がいいわよ」
「なっ?! な、なな、なに、何を―――何を言ってッ!?!」
「何って、ナニの話でしょ?」
「―――っ?!」
もはや火を噴くというよりも溶けて消えてしまうかのように赤く染まった顔をしたタバサは、羞恥か驚きかそれとも他の何か理由なのか、言葉が紡げずパクパクと口元を動かすだけであった。
タバサはその見た目や実際の年齢から何も知らない幼子と周りが見ることは多いが、実際はそんな事は全くと言ってなく。それどころか小さな頃から闇の仕事を命じられ、そう言った手合いの中を生き抜いてきたことから、薄
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