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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
第五話 火は風と交わりて炎となる
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しながら、タバサがテーブルの上に突っ込んだ。ロケットエンジンでも付いているかのように、テーブルから射出された瓶は、端の壁まで飛んでいき、盛大な音を立てて木っ端微塵に砕けてしまった。
 シンっと静まり返る部屋の中、テーブルの上、ピクリともしないタバサ。部屋の隅からは、ワインが水滴となって滴り落ちる音が微かに聞こえてくる。
 キュルケはテーブルの上でピクリとも動かないタバサの後頭部を暫らく眺めていたが、不意に大きく頷くと慈母のように優しく微笑んだ。

「そんなに喜んでくれるなんて。わたしも嬉しいわ」
「―――ッナ! え?! そ、喜んでなんかっ?!」

 起動のスイッチを入れたかのように、ガバリとテーブルに突っ伏していたタバサが顔を上げると、何処までも優しい顔をするキュルケに食ってかかる。

「わかるわ。素直になれないのね。わたしも昔……まあいいわ。それで、話を進めましょう」
「―――ッッ! だからっ、ちょっと、待って!」

 混乱と言うよりもパニックに陥ったタバサが、呼吸困難になったかのように顔を真っ赤に染め、声を詰まらせながらもキュルケに何かを訴えようとするが、キュルケはタバサを無視して話を進める。

「何時か何時かと思っていたけど、流石にもう色々と限界になってきたしね」
「キュルケっ!」

 話を聞かないキュルケに、テーブルに拳を叩きつけながら訴えるタバサ。
 雪風の二つ名を持つとは思えない。それどころか今まで聞いたことも見たこともない様子を見せるタバサの姿に、しかしキュルケはただの一瞥もくれない。口にした通り、何かが限界なのだろう。一見すれば落ち着いた様子で話しているように見えるが、キュルケの言葉の端々や目の奥に焦りがあるのが分かる。何時もの冷たく感じる程の冷静さを見せるタバサならば、キュルケのそんな様子に直ぐに気付容易く察することが出来る筈なのであるが、今は欠片も気付かず、タバサはただただ悲鳴のように声を上げるだけであった。

「何よ?」
「一体どういう事」
「どういう事って?」
 
 流石に無視する事ができなかったのか、キュルケが顔を上げ頬を、と言うよりも顔全てを赤く染め仁王立ちするタバサを見上げる。

「そ、その、か、彼と、その、い、一発って、な、ナ―――」
「セッ○スに決まってるじゃない」
「―――ッ!」

 再度テーブル突っ伏すタバサ。
 髪の隙間から覗く首元や耳は目に痛い程赤く染まっており、キュルケの目が、テーブルの上に乗ったタバサの頭から出る湯気が幻視する。

「っ、ど、どうして、そんな話しに……」
「最近のシロウの周りを見て分かんない?」

 顔を俯かせ声を戦慄かせながら上目遣いで見上げてくるタバサを、キュルケは頬に手を当て困ったような声を上げる。

「ほら、あなた
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