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終戦
終戦
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引き寄せ、転倒する事を防ぐと、彼の身体を支えた。

「おぉ、初霜…… すまん。最近どうも足腰が悪くなってきてるみたいだ…… もう、儂も年か……」
「提督、もう引退してください…… もうお年なのに、それ以上無茶したら身体に悪いわ……」

 彼女は不安そうな 面付きで彼に退任するように促すも、彼は首を振って笑みを浮かべながら

「心配するな、初霜。例え身体が悪くなろうともこの戦いが終わるその時まで、儂は仲間と共に戦い続ける。平和が訪れたらゆっくりと余生を送りたいしな…… それに、ここに居れば秘書艦の初霜が儂の隣に居てくれる。それだけで儂は最高に幸せなんだ。」

 っと言葉通り幸せそうに返すのだった。 

「提督……」











 数年後。

 母港が近くにある海辺にて。

 初霜は沢山花の置かれた提督の名前が彫られた小さな石の前に立っており、花束と小型の箱を持って悲しく微笑みながら呟いた。

「提督…… 戦いは終わりましたよ。提督や私、みんなが夢見た平和…… それがとうとう実現したのです」

 彼女はしゃがんでから、花束を既に花が沢山置かれている場所へそっと添えるように置く。
 提督は遺言で骨を母港近くの海へ流してくれっと遺族に頼んであり、それゆえ、この場所に墓石が建ったのだ。

「提督、親戚の方から聞いわ…………  戦いの終わるその時まで傍に居る事が出来なくてすまないって…… 最期の台詞も提督らしくて、私…… その後今までの思い出が蘇って、戦っている最中でも泣いてしまったわ…… 謝るのは私の方…… 提督が亡くなる時、傍に居れなくてごめんなさい…… ずっと、墓参りも出来なくてごめんなさい……」

 初霜は声を震わせながら、墓石に謝り続ける。
 彼女のその目には、小さな雫が零れおちていた。

「提督、あの時、私にケッコンの告白をしてくれましたよね…… 遅れちゃったけど、もう今更になっちゃったけど…… もし提督が良ければ私……」

 持っていた小さな箱をゆっくりと開いた初霜は、箱の中身に入っている指輪を取る。

「貴方からのケッコンの申し出…… お受けします…… ずっと、貴方のお側に居ます。だから、安らかにこの場所で平和になった海を見守ってね」

 そう言って、初霜は微笑んで涙を流しながら、墓石の前で生前彼から贈られた指輪を嵌めたのだった。
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