終戦
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支援要請を受けているみたいだった。
「そうか…… 前線が押されているのか、了解。支援艦隊を編成してそちらに送ろう」
提督はそう頷いて答えると、電話を切る。
そして、額を押さえてどうしようか考えに耽っていると数分後に扉のノックが聞こえ、立ち上がってから扉まで歩き、ノブを回して扉を開いた。
「提督、お茶が入りました」
お茶の入っているお椀を乗せたお盆を持った初霜は、彼に微笑みながらそう言って中へ入り、お盆を彼の机へ置く。
提督は彼女の気遣いに微笑むと
「あぁ、初霜。ありがとう…… なぁ初霜、さっき本部から連絡があったんだが、前線で戦ってる提督から支援要請を受けたんだ。お前と初春、子日、若葉の第21駆逐隊で至急、北方海域へ向かってくれ」
っと少し苦い顔をして命令を下した。
北方海域は現在、別の艦隊が敵艦隊と激戦中で、敵側の方が数的有利だ。
大切な仲間をそんな場所に送ってしまう事に、提督は心苦しく思っていた。
彼は状況説明をして、大丈夫かどうか初霜に問う。
だけど、彼女は、
「はい、了解しました!」
快く頷いて引き受けた。
彼女はどんなに不利な状況でも仲間を置いて逃げようとはしない、しかし、それでも彼は祈るような声で初霜へ頼んだ。
「初霜、どうか轟沈だけはしないでくれ…… 中破したらすぐに引き返すんだ、いいな? 三人にもそう伝えてくれ」
それから数日後。第21駆逐隊は初霜、若葉、子日が大破しながらもギリギリ勝利して鎮守府へ帰還し、提督は泣いて彼女達へ謝った。
二十年後。
「良かろう…… 今ある資源を可能な限りそちらに送る。別に感謝等要らんよ、儂らは仲間じゃないか…… あぁ、それじゃあな」
髪が白くなりほとんどの皮膚が皺だらけになった年老いてる提督は、電話の相手にそう優しく言うと、電話を切る。
彼の隣には初霜が心配そうな顔で立っており、呟くような小さな声で彼に声を掛けた。
「提督……」
「おぉ、初霜…… 居たのかい? 多分聞いたと思うが、すまん。少ない儂らの資源を他の提督達に渡す事になっちまった。独断で勝手に決めて悪いな」
提督は苦笑しながら彼女へ謝る。初霜はそんな彼に慌てて
「いえ、謝らないで下さい! 提督の判断は私…… 正しいと思うわ」
っと笑みを浮かべて答える。
「ふふっ…… そう言って貰えて儂は幸せだ。さてっとそれじゃあ…… うおっ!」
提督が彼女の気遣いに微笑んで感謝し、立ち上がる。
そして、机に掛けてあった杖を持って、歩こうと足を動かしたその時。足がもつれて前へ倒れようとしていた。
「提督!」
初霜はすぐに彼の手を取って
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