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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第22話-2 『まくらと計佑、雪姫とアリス。「笑い事じゃないよぉっ!?あの人の場合、本当に実現しそうな未来じゃないの……!」』
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り高熱な──怒りが湧いてきたのだった。

「……言えよ。誰だよ」

 さっきと同じ質問だったが、今度の声は、さっきとはまるで違って、固く、怒りに彩られていた。

「だっだから言えないって……!!  ……っ!?」

 必死に計佑の視線から顔を逃がそうとしていたまくらだったが、
再度の質問に答えた時に一瞬視線を合わせて──息を飲んで、怯えた。
 無理もなかった。今の計佑は、滅多に見せない本気の怒りの表情を浮かべていたのだから。

「なんで言えないんだよ。オレのほうの事情は全部知ってるクセに、卑怯だろそれ。
それとも何だ? 言えないような、ろくでもないヤツなのか」

 躙り寄る計佑に、まくらが下がろうとして──すぐにベッドにぶつかった。
計佑が右手を伸ばして、まくらの左肩を掴む。

「……認めねーぞ。そんなろくでもないヤツだって言うなら、絶対に認めねーからな」
 
 そう告げて、少年が右手に力を込めた。

「いっ痛……!! 離して、痛いよ……!!」

 怯えたまくらが悲鳴を上げて。それでも、少年は手を離さなかった。
ただ、少しだけ力を緩めたのが、今の計佑に出来る最大の譲歩だった。

「おい、どうなんだよ……!!」

 声を荒げながら、まくらの顔を至近距離から覗きこむ。
そんな計佑の剣幕に、ついに屈服したまくらが叫んだ。

「そ、そんなんじゃないってば!! 好きだったけど、もう失恋してるの!!
まだちょっと気持ちが残ってるから『今』とか言っちゃっただけっ!!!」
「……なに……?」

 まくらの答えに、右手から力が抜けて。
その隙に、まくらが慌ててベッドに這い上がって、壁際まで逃げた。

「……もう、失恋してる……」

 呟く計佑を、まくらが壁際から不安そうに見つめてきていた。

──……なんだ。もう付き合いそうとか、そういう訳じゃあないんだ……

 まくらが今すぐ誰かと付き合う訳じゃない。誰かのものになってしまう訳でもない。
そう思ったら、心中で噴き上がっていた炎が、一気に消えていった。
 ほぅ……っと、心底安心した溜息が出て。
そうして平常心に戻った少年だったが、そうすると、次はまくらへの申し訳ない気持ちが沸き上がってきた。

──って、な、何なんだよ俺……!? 人の失恋を『よかった』なんて思うとか……!!

「あっ……!? ごめんっ、まくら!! 俺……!!」

 慌てて謝ったが、計佑が言葉を発し始めた瞬間、まくらはビクッと震えて。
すぐに、もう計佑が落ち着いているとわかったのか、安心したように溜息をついた。

「……ううん、いいよ気にしてない。
ちょっと怖かったけど、今日の私の暴行に比べたら、肩ギュッくらい全然大したことないもんねっ」

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