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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第21話 『あの時の公園で。「結局……計佑くんは、私のことキライなの……?」』
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いた。
雪姫に対しては緊張を伴うことも多い少年・計佑が、雪姫を相手にここまで爆笑できたのは初めてかもしれない。
 予想だにしなかった雪姫のギャグ(と思っている……)に笑い転げていた少年は、
少女が耳まで赤くして、瞳に涙を盛り上げていく様に全く気づかなかった。

「……計佑くんのバカァ!!!!」
「ははっはははっ……え……?」

 雪姫の怒声が聞こえて、ようやく笑いを収めて顔を上げた少年の視界には、
身を翻して屋上を駆け出していく雪姫の姿があった。

「えっ? 先輩、あの……」

 バン!! と乱暴にドアが閉められて、少年は一人取り残されてしまう。

「……え……?  は……?」

──……え? ギャグ……でしょ? 何で笑ったら怒られんの……?

 本気で不思議がる、お目出度い少年だった。

─────────────────────────────────

「あっ計佑。遅かったじゃない。なにやってたの?」

 その後、計佑が先ほどの雪姫の態度に納得が行かないながらも部室に行くと、そこにはまくらだけがいた。

「んー……いやちょっとな……」

 雪姫のギャグ──ギャグだと思ってたコスプレ? だが、笑ったら怒りだしたのだし何か違うのかもしれない。
一応それくらいまでは察した少年だったので、まくらに先刻の事は話さなかった。

──そもそも誰にでも見せていいと思ってるのなら、オレだけを呼び出したりもしなかっただろうし……

 しかし、計佑にわかるのはそこまでだった。気にはなるが、今は部活の時間でもある。
テーブルを挟んでまくらの斜め向かいに座ると、気を取り直して今日の活動について切り出した。

「茂武市は今日はパスだって。アリスの予定はなんか聞いてるか?」
「さっきちょっとだけ顔を出してったよ。今日は友だちと遊ぶ予定が出来たから、やっぱりパスだって」
「そっか……まあアイツ、今までも殆ど顔出してないもんな。
なんかオレらのコト勘違いしてココに来てただけみたいだし、もう今後は来なかったりすんのかな……」

 遠くを見つめるような顔をして呟く計佑に、まくらがため息をついた。

「……アリスちゃんなら来るよ。ていうか、来ないワケないでしょ……」
「え? なんでだ?」

 まくらの言葉の根拠がわからず尋ねると、まくらがジト目になる。

「……雪姫先輩がいるからだよ。先輩にあんなに懐いてて、
そんでもう先輩にこそこそする必要もなくなったんだから、
これからは普通に来るようになるよ。……それだけの話って計佑は思ってればいいよ……」

 最後は呆れたように言われ、『それだけの話?』と一部ひっかかりはしたけれど、一応納得した。

「あー、言われてみればそりゃそっかー」
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