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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第20話 『白井家での一幕。「そう、この顔だよ……私で一杯になっている時の、計佑くんだぁ……」』
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物が買えなかったので、確かに代金で弁償という形になっていた。
(ちなみに雪姫からは、お返しにと、やはりクマちゃんストラップ(実は貴重な限定品)を送られていた。
流石に計佑が使えるような品ではなかったけれど、それは大事にとってある)

「……あのクマちゃんは、計佑くんからの初めてのプレゼントで、
計佑くんの命を守ってくれた特別なコなんだもん……
だから、計佑くんの写真と一緒に、大事にしてるんだよ……?」

 さらに雪姫が距離を詰めてきて。もう殆ど触れ合わんばかりになった。顔を上げた雪姫は真っ赤で、瞳も潤んでいた。
……けれど今度は、計佑も下がらなかった。

──先輩……壊れたおもちゃなのに、そんな風に思ってくれてまで……!!

 計佑の胸に、熱い感動が満ちていた。
 雪姫と自分なんかでは、到底つり合いなんてとれていない、
やはり雪姫が自分を好きだなんて不自然な事なんだ……そんな思いが常にあった。
だから、雪姫から自分への『好き』という気持ち自体は疑わないまでも、想いの強さまでは信じきれていない部分があった。
けれど今の話で、雪姫がどれほど自分の事を好きでいてくれたのか……漸く理解できた気がした。

 雪姫への愛しさが溢れてきて──この瞬間の少年からは、少女への遠慮が消えた。
少年の腕がすっと持ち上って……

─────────────────────────────────

──……え……?

 最初、雪姫には状況がわからなかった。
 自分に気圧されて、耳まで赤くしていた筈の少年が、急に余裕をとりもどしたように見えた。
そしてすぐに計佑の両腕が持ち上がると、そのまま雪姫の両肩に乗せられてきた。

──……へ……?

 間抜けな疑問符が浮かんだ。
ぽかんとする雪姫に、計佑が口を開く。

「先輩。今度、もっとちゃんとしたプレゼント送ります。
壊れたおもちゃしかあげられないほど、情けない男ではいたくないから」

 計佑が笑顔を見せた。
初めては雨の日の入学式で、それからは自分が弱ってる時にしか見せてくれない、自然体の笑顔。
でもそれを、何故か今、計佑が雪姫へと向けていた。

──ううん、なんだか今までより、もっと優しい顔をしてる気がする……

 そう思った瞬間、バクン!! と心臓が大きく高鳴った。
そして、少年が今、非常時でもないのに自分に触れてきていることに気付いた。そんな事は初めての筈で、

──けっ、計佑くんが……自分から私に……!?  なっなんで!?  別に今、特別なコトとかないよね!?

 自分の話で、てっきりいつものように真っ赤になって、慌てふためいてくれるだろうとばかり思っていたのに。
まさかの事態に理解が追いつかない間に、また計佑の右手が
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