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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第17話 『ホタルから見たこの世界。妬心の目覚め「どうして私、胸が痛いのかな……」』
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ぱり今一つ分からなかったが、詳しく聞いても結局の所自分には理解しきれる気がしなかったので、それ以上この事については訊かないことにした。
 代わりに、他のことを尋ねる。

「それで?  これからホタルはどうするんだ?
アテが外れたっていうけど、やっぱりまた榮治さんってヒトを探しにいくのか?」
「ああ、それは勿論。まくらにはお前から宜しく言っておいておくれ」

 そう言って、ふわりとホタルの身体が浮いた。

「え?  まくらには会って行かないのか?」
「……ああ。……けれど、そういえば前の世界でもまくらにはお別れを言わなかったな……」

 ホタルの高度が、少し下がった。

「……もう世界を渡る意味はなさそうだしな。しばらくはここで腰をすえて捜すつもりではいるんだが……
もしかしたら、ふらりとまた会いにくることもあるかもしれない。
……一人きりの長い時間には、ちょっとうんざりしてるのも正直なところでな。
その時には、また話し相手にでもなってもらえると助かるんだが……駄目だろうか?」

 ささやかな願いを口にして、ホタルが苦笑を浮かべた。
 そしてそんな願いを、この少年が受け入れないわけがなくて。

「何言ってんだ、いいに決まってるだろ?  俺たち友達じゃねーかよ」

 そう言って、計佑が笑う。
 けれどホタルは、そんな計佑の顔を見るといきなり硬直した。

「……?  どうした、ホタル」

 突然固まってしまったホタルに声をかけると、すすっとホタルが身を寄せてきた。

──な……なんだ?  なんか妙に近くないか……?

 突然の接近に計佑が戸惑っていると、ホタルは、じーっと計佑の顔を見つめてきた。

「向こうでも……お前が榮治さんに少し似ていると思ったことはある……けれど、こちらのお前は……本当に榮治さんを思い出させるな……」

 言いながら、じりじりと顔が近づいてくる。

「お前が榮治さんのハズはないと思うんだが……しかし……」

 どんどん近くなる。慌てて、ホタルを押し留めた。

「ちょっちょっちょ!!  だから近、近いって!?」
「あ……? あっああ、すまんすまん」

 ようやく我にかえったのか、ホタルが下がってくれた。
 計佑がホッと息をつく。
 ホタルは、しきりに首を捻りながら、相変わらず計佑を見つめたままだったけれど──

「……うん、やはり違うとは思うんだが……まあとりあえずはいい。
お前が許してくれるというのなら、またその内顔を見せにくるよ。
まくらにもそう言っておいておくれ」

 そして、ホタルが微笑を浮かべた。

「おう、またな!!」

 計佑が力強く挨拶すると、ホタルは軽く手を振って──蛍の様な小さな残光を
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