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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第16話 『温泉へ。まくらが語る呪いの真相。「目覚くんは無理だと思いますよ」』
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!!

 必死で頭を振る。──そこで気付いた。
茂武市が鼻の下を伸ばして、女湯との仕切りに近づいていることに。

──テメエエエエ!!!!

 今の雪姫の声を、茂武市も聞いていた──その事に気づいた瞬間、全身を怒りが支配した。

「なにしてやがるテメエェ!!! テメエは聞くんじゃねェェ!!!!」

 茂武市の肩を掴み、力任せに後ろに引き倒してお湯に沈めた。
バシャバシャと茂武市が暴れるが、計佑は力を緩めない。
今、手を離したら、また茂武市に雪姫の声が聞かれてしまう──その怒りのままに、茂武市を沈め続けた。
やがて、茂武市の抵抗が弱くなってきて──我に返った。

──……ハッ!? しまった、マジで死んじまう!!

 慌てて、茂武市の身体を引き上げた。

「ゴフゥッ!! ガハッガフ、ガフッ!! ……おいっ計佑ッ、お前マジで死ぬトコだったぞオイ!!!!」
「ご、ごめん……なんかついカッとなって……」

 当然、茂武市が怒り、流石に計佑も本気で謝った。

「……オレはお前のコト、気のいい人畜無害なヤツかと思ってたが、勘違いだったわ……ハルクかよ全く……」

 言いながら、茂武市が立ち上がる。

「あ、おい……もう上がるのか?」

 計佑が呼び止めるが、

「上がるに決まってるだろ……これ以上ここにいたらマジで殺されそうだわ」

 ジロリと睨みつけられて、恐縮してしまう。

「お前よー……」

 茂武市が言いかけてから、口を噤んだ。

「……なんだよ?」

 促すと、

「……やっぱいいわ。それで無自覚とかオレには信じられんけど、そこまでキてるんなら、自覚出来るのも時間の問題だろうしな……」

 そんな風に半ば独り言のように言って、ひらひらと手を振って湯船から上がるので、

「……あっ、じゃあオレも!!」

 慌てて立ち上がる。自分だって、あんな声を聞き続ける訳には。

「お前はまだ入ってろよ。ケガ人はちゃんと養生しとけって。向こうのアレも、もう収まってるだろ?」

 言われてみれば、もう女湯からの怪しい声は聞こえてこない。
 何やらバシャバシャと派手な水音とキャーキャーという声は聞こえてくるが、雪姫が二人に反撃でもしているのだろうか。

『じゃあお前だって出るコトねーだろ』と一瞬考えるが、入ってからそれなりの時間は経っていたし、
今の騒ぎがきっかけになったのだろうと考えて、それ以上呼び止めはしなかった。

──まあそういうコトなら……お言葉に甘えて、もうしばらく浸からせてもらうかな。

 さっきの雪姫の声には色々と焦らされたが、それまでの心地よさを思い出して、あらためて湯につかった。
──のだけれど、結局。程なく、計佑も逃げ出すことになった
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