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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第16話 『温泉へ。まくらが語る呪いの真相。「目覚くんは無理だと思いますよ」』
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リナは湯船に戻っていく。

「全くもう……硝子ちゃん!! あんな人ほっといて一緒にやろっ」
「…………」

 雪姫の呼びかけに、硝子は無反応で俯いていた。

「……?  硝子ちゃん?  どうかした?」

 雪姫が尋ねると、硝子はゆっくりと顔を上げた。

「……先輩。白井先輩は誰とのコトを願って、この鈴を投げるんですか?」
「えっ!? 誰って、それは……」

 自分の態度はかなりあからさまだったと思うけれど、硝子にはまだ気付かれていなかったのか。

──まあハッキリと伝えていた計佑くんすら分かってなかったりしたぐらいだし。
意外とこういうのは分からないものなのかな……

 硝子の真意も知らず、そんな風に考える雪姫。
 計佑への気持ちに迷いはないし、何ら恥じることもないし、別に隠さなくてもいいかな……そう考え硝子に明かそうとして、

「目覚くんは無理だと思いますよ」

……ドクンッ!!

「……え……」
「目覚くんには、もう特別な人がいますから」

 暗い目をした硝子の言葉に、凍りついた。
 自分の気持ちが見抜かれていた事は、どうでもよかった。
雪姫にとってショックなのは、計佑に想い人がいるというその一点のみ──
一気に血の気が引いていく。ガクガクと膝が震え出す。

「……ウソだよ……だって……」

──昨夜、言ってくれた。私のコトが一番だって。 だから……安心して待っていられると思ったのに……

「嘘じゃありません」

 断言する硝子の声に、目の前が暗くなっていく。

 ウソだ。信じられない。計佑が自分にウソなんてつく筈ない。でも硝子だって、ウソをつくようなコじゃない──
二律背反に硬直する雪姫に、硝子からの言葉が続いた。

「音巻まくらってコがいるんです」

──……え……?

 その名前を聞いた途端、スゥッと身体が軽くなった。世界にも一気に色が戻る。

「音巻まくらさんって……計佑くんと一緒に育ったっていうコのことだよね?」
「──っ!? 知ってたんですかっ!?」
 
 力を取り戻した雪姫が尋ねると、今度は硝子が動揺した。

──なんだ……例の幼なじみさんのコトだったのね……

 心の底からほっとする。
 やはり、計佑がウソなんてつくはずがなかった。
 どうして硝子がそんな勘違いをしているのかはわからなかったが、もはや雪姫の中には一片の不安もなかった。

「うん、昨日計佑くんに聞いたよ。
子供の頃から殆どを計佑くんのウチで過ごしてて。もう家族同然だって、全然そういうのじゃないって」
「っ!!  ……そうなんですか……子供の頃から目覚くんの家で……それは初耳です……」
 
 硝子が悔しそうな顔をする。

──? 
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