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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第16話 『温泉へ。まくらが語る呪いの真相。「目覚くんは無理だと思いますよ」』
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けなかったのだ。
 ちなみにカリナは、とにかく大雑把な少女なので素で気づいていなかった。
 そして肝心の温泉だが、いざ入ってみたら開放感はあるし景色もいいしで、
予想していたような怖さはまるでなかった。お陰で、雪姫も今は余裕が取り戻せていた。

「いえ、そんな……バスの中で本なんか読んでた私が悪いんですから」

 困った感じの笑顔を硝子が浮かべて、雪姫もようやく安心した。

「……目覚くんが気づいてくれて。ずっと傍についててくれたんです。
……私、戻しちゃったりしたのに、それもイヤな顔1つしないで片付けてくれて……ホントに優しいですよね、目覚くんって」
「そうだったの!? そんな大変だったのに、ホント気付かなくてごめんなさい……でもさすが計佑くんだよね!!
きっと『全然大したコトないよ』って感じの笑顔で慰めてくれたんじゃない?」

 硝子の『牽制』に、嬉しそうに雪姫が答えた。
 硝子の思惑に気付かない雪姫にあるのは、『好きなヒトを褒められて嬉しい』という喜びだけだった。

「……っ……そうですね、確かにその通りでした、目覚くんは……」

 硝子が一瞬顔をしかめたけれど、

──あ……そうだよね、男の子にそんなコトされたら複雑にもなるよね……私だったら耐えられないかも……

 雪姫が思ったのはその程度のことだった。
 
「おー、そうだ硝子ちゃん。キミも気にしてた神様の話なんだけど、なんかこういうアイテムを使うんだよー」

 カリナが、紐のついた鈴を鳴らしてみせた。雪姫が説明を継ぐ。

「この温泉の名物なんだって。これをそこの桶に投げ入れて、
神様に鈴を手にとってもらえた人の恋が叶うっていう話なんだよ」
「まーアタシは恋なんてクソ喰らえなんだけどー、オバケには是非とも会ってみたいからさー」

 カリナが大袈裟に鈴を振りまくっている。

「硝子ちゃんの分も、もう買ってあるの。一緒にやろ?」

 そう言って雪姫が、鈴を硝子に手渡して。

「え……ありがとうございます。あの、お代は……」
「そんなのいいから!! ほらっ早く」

 雪姫が硝子の手を引っ張って、桶の前へ。カリナも後からついてくる。

「よし! それじゃあ行くよ? せーの……」

 雪姫と硝子が投げ入れようとした瞬間、

「おりゃあ!!!!」
バシャァアア!!

 桶をひっくり返しそうな勢いで、カリナが鈴を投げ込んだ。

「おらー!!  出てきてみろよ神様とやらー!!」

 罰当たりにも、挑発までしていた。

「もうっカリナ!! ふざけないでよ!!」
「えー?  だってさー、アタシは別に願いがあるワケじゃないし、ただ神様の姿とやらを見てみたいだけなんだも〜ん」

 鼻歌交じりにカ
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