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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第11話『雪姫の添い寝と次の朝、一方硝子は……「まくらには内緒にしておくから」』
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夜言ってたよな」
「……だいじょぶ。ありがと……」

そう答えて、まくらがおにぎりを受け取る。

「お? なんだよ、またモノ持てるようになってんじゃん」
「うん……昨夜のうちにまたそうなった」
「はー……ホントいい加減だよなぁ。服が勝手に変わったりなんだりとさー」

まくらが俯いた。

「ケガ……大丈夫?」
「あ? このホータイか? こんなん大げさに巻いてあるだけだよ。大したことないって」
「……ごめんね」
「……は? なにが?」
「白井先輩が攫われた時。 私がモノ動かせる状態だったなら、先輩を助けられたのに……」
「……まあ、確かにポルターガイストが起きてたら、連中も泡くって逃げ出してたかもしんねーけどな」

へっと笑ってみせる計佑。

「…………」

それでもまくらは俯いたまま、無言だった。

「……どうした?」

真面目な声で尋ねると、まくらが唇を噛み締めて──くるりと後ろを向く。

「……ゆうべ」
「……うん?」
「私、何もできなかった……白井先輩が攫われた時も……計佑があいつらに殴られてる間も……刺された時も!!」

まくらの肩が震えていた。

──あー……なんだよコイツ、そんなん気にしてたのか……

こそばゆくなる。まくらも、昨夜は随分と心配してくれていたのだろう。
刺された瞬間は、傍目には殺されたように見えたかもしれないし。
そうして今は、自分を責めてしまってる訳だ。

──全く。元気と笑顔しか取り柄のねーガキんちょのクセして、余計なコト考えてんじゃねーぞ。

まくらの頭に、ポンと手を置いて。

「……めちゃめちゃ活躍してくれたじゃないか、お前。
先輩の状況を教えてくれて、道案内までしてくれて。お前がいなかったら絶対に間に合わなかった。
──ありがとな、まくら」

心配してくれた事に感謝して。
大きな仕事をやり遂げたことを褒める為に。
責任なんて何もないのに、自分を責めて苦しんでる妹分を慰めたくて。
──頭においた手で、わしゃわしゃと髪をかき混ぜてやる。

「……バカっ……それやめてって、いつも言ってるじゃないっ」

そう言いながらも、まくらは跳ね除けようとはしなかった。
じっとしたまま受け入れて──やがて腕を持ち上げると、目元をゴシゴシこすり始めた。
それからバッと計佑の腕から逃れると、振り返って、にぱっと笑ってみせてきた──まだ赤い目をしていたけれど。

「あーっもーお腹すいたっ!! 結局昨夜から何も食べてないんだよー?
ご飯持ってくるの遅すぎなんだよ計佑はっ」

いつも通りの悪態をついてくるまくらにほっとしながらも、計佑もニヤリと笑ってみせた。

「フフ……いっそずっとメシ抜きにして
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