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蓋世不抜のアカンサス
序章
慣れっこだろ
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うが見境無しに女の子をすぐナンパする癖さえ治せば、すぐAになれるのに……あともう少し丁寧に装備扱うのもだけど」

「ん?なんで不知火が不満気?」

「この間の模擬戦闘でちょっとね」

 両手を上げて首を振る不知火に、驚きの声を漏らす薫。何も言わないが、横で会話を聞いていた周防も目を丸くしていた。

「え、負けたの?お前が?」

「いいや、ドローだよ」

 まあ、危ないところだったんだけど、と肩をすくめて苦笑いをこぼした不知火の、空になった湯呑みにそっと周防が急須からおかわりを注ぐ。

「そういえば周防くんはどうする?クエスト」

「……疑問がある」

「それは、ランクの指定が高いことについてか?」

「それだけじゃない」

「……報酬」

 びしりと指をさした薫に、周防が頷く。それは周防だけでなく全員が思っていたことではあった。

「一人二百万に、Bランク以上の指定」

一般高校(パンコー)への潜入捜査にしては高すぎる?」

「……何もないとは思えない」

「なるほどなぁ……」

 相変わらず変わらない表情で首を振った周防に、薫が頷いた。ぐびりと残っていた温い緑茶を流し込むと、指でピストルをつくる。にやりと口角を持ち上げてみせたその瞳には、絶対的な自信に後押しされた強い光が宿っている。

「だけどな周防。俺たちは強襲科だぜ?」

──荒事は、慣れっこだろ?

 そう言って指先を跳ね上げた薫に、周防はその返答を待っていたかのように名前を書いたクエストの用紙を手渡した。四人の名前が書かれたその紙は、心なしか始めより重くなっているような気もする。

「……そう思うなら、9ミリは補充しておけ」

「わーってるよ」

 周防の痛い指摘に、すこしいじけたように頬杖をついた薫。子供のようだと、二人は笑った。
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