序章
慣れっこだろ
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るとも取られかねないその双眸も相まって、初対面の人には必ずと言っていいほどビビられることがコンプレックスだったりする彼は、争いを好まない、温和な性格だったりする。さらには動物が大好きで、度々学校の敷地内で野良猫と戯れているところを目撃され、理子からはギャップ萌えの帝王と称されるほど、外見と性格の差異が激しい奴である。
ことりと硬い音をたててそれぞれの前に置かれた湯呑みには、湯気をたてる温かい緑茶。武偵憲章4条はどうしたと言ってしまいそうになるほどの世話焼きであることは周防を除く三人の共通認識である。
とりあえず貰えるもんは貰っとこうと礼を言って茶を啜る。ほぅ、と一息をつくと薫はばっとクエストの紙を持ち上げた。
「そうだ!クエストだ!そこのプリンのせいで危うく脱線しかけたじゃねぇか」
「ちょ、カオちゃん!今気にしてんだからそこ触れんなよ!」
ずびしっとご丁寧に指さし付きで言われた篠崎が、抗議の声をあげる。
そう。なんとこの篠崎龍太郎はこの武偵高に来た動悸をあろうことか「モテたいから」という一言で片付け、さらには髪を金髪に染めているのだ。本人としては少しでもカッコ良くなりたいと思っていたそうだが、残念ながら170に届かない身長で、さらに少しばかり顔立ちが幼い篠崎は?ちょっと背伸びした中学生?程度の認識しかされていなかったりする。しかも家庭事情をあまり話したがらない篠崎は、詳しい部分は謎だが少なくとも純日本人の顔立ちはしておらず、自毛がもともと薄めの茶髪なのだ。だから当然、しばらく染め直すことができなければあたどんどん髪は伸びていくわけで、今となっては立派なプリン頭となってしまっていたのだ。
「だいったいモテたいからって染めたは良いが金欠で染髪料買えねーって余計だめだろ」
「うっ……いやそこは見ないふりをするのが優しさだろ!」
「まあいい、そこでた!篠崎今金欠だろ?」
「……だからそうだっつってんの」
「キレんな。俺も金欠だ」
短気な性格が出たのか、若干機嫌悪そうに茶を啜った篠崎に、薫はデザート・イーグルのマガジンを放った。
突然のことではあったものの、流石の反射神経で難なく受け取った篠崎が、その全く重みを感じないマガジンにちらりと目をやる。
「弾買えてねーの?」
「ん。マグナムちょー高ぇ」
「ははっ!マグナムなんてBランクの俺には無縁だな」
軽く笑って肩をすくめると、篠崎は薫に空のマガジンを投げ返す。そして薫と、会話を傍観していた不知火にクエストを受ける旨を返して用紙に名前を書き込んだ。三つの空欄が埋まったそれを机に置くと、シャワーを浴びると言って席を立った。
その篠崎の背中を見送る不知火は、少々不満げだ。
「よく言うよ。龍はテスト中だろ
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