プロローグ
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浅間さんが半泣きくらいで見つからないって言い始める時に現れてましたね」
「い、息を殺してるから、私も、見つけにくい、の」
「あまり思い出したくない記憶なので、勘弁してください」
肩を落とす浅間を見て、直政は思う。
線引きの巧い奴さね。傷付けず、冗談で済むタイミングで現れる。
小等部からの付き合いだ。休みがちでサボり魔と思いきや成績は良かったさね。
最近じゃサボリは少ないけど、今日は久々のサボりってわけさね。
「どうして急にユーキ君の事を?」
浅間の問いに直政は、どう言えばいいのか、と思ったがややあってから答える。
「――あたし達は、トーリと同じように、ホライゾンの事を知ってる。ユーキもそうさね」
その言葉に、皆が沈黙する。
「ユーキは、どう思ってるのかって思うさね」
歩きながら話すかと直政は顎で道路を示した。
●
浅間は、ホライゾンの古い思い出を語りながら思う。
マサもホライゾンの事を気にしていたんですね。
それに、ユーキ君の事も。
ユーキ君も、トーリ君も今回の告白をどう思っているんでしょうね。
私の胸の話は置いといて。
直政の言うとおり、明日からこういう話題も出しにくくなるかもしれないですよね。
肝心のトーリ君を置いて、ユーキ君はなにしてるんでしょうか。
「ユーキは身内にも厳しいさね。でも馬鹿が馬鹿やって事後処理するのはユーキのくせに止めやしない」
「総長の行動は、読めないですからねー。朝練からユーキさんの家に誘われてドア開けたら全裸の総長がいた時は凹みますからね。朝から変なもの見せられて」
「全裸ネタには甘めですからね。ユーキ君は」
ゴッドモザイクがあるから良いってもんじゃないんですけどね。
「馬鹿な妹と、馬鹿な弟がいると一番上の兄はしっかりするもんさね。喜美の馬鹿は気の回る馬鹿なんだけどさ。明日、トーリがコクって上手くいったら、喜美が一番食らうだろうに。――ユーキはどうなんだろうさね」
喜美は階段の上に座ったままだ。
トーリ君が後悔通りに行ってみるって言った。
喜美はそれを見守るつもりなのだ。
ユーキ君は、放任なんでしょうか。
それとも、何か別の用事をトーリ君に頼まれているのでしょうか。
「それは――」
分からない、と。素直に言えなかった。
優しくて、時に厳しいトーリ君の兄。
トーリ君を向こう側に行かせなかった喜美には皆、頭が上がらない。
けど、私だけが知っている事がある。
「――トーリ君の告白が上手く行ったらユーキ君は喜ぶと思います」
●
浅間の後に、鈴は昔のホライゾンの事を話した。
優しい人。目の見えない鈴に前もって知らせる行為がある。
それを忘れていない葵・トーリの事。
今でもホライゾンが始めた
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