のつぶやき |
2018年 06月 03日 (日) 17時 56分 ▼タイトル 2063-3 ▼本文 もっとも……その対処方法は、俺にとってはそう難しいものではない。 実質的にやる事は、先程と変わらない。 普通なら火は水に消火され、属性的に不利なのは間違いない。 だが……あくまでも普通なら、だ。 俺の炎は普通の火ではなく、白炎。 これでもかと俺の魔力が込められたその炎は、本来なら消火という結果とは全く別の結果をもたらす。それは即ち……蒸発。 周囲に存在していたマハブフダインによって生み出された氷の空間は、俺の白炎によって消滅していく。 氷が溶けた影響なのか、周囲には大量の水蒸気が吹き上がっていた。 それは、先程の炎の時と同様、俺の姿を隠すには十分なだけの威力があり…… 『させないよ。マハジオダイン』 気配遮断を使ったそのしゅんかん、向こうは俺の存在が消えた事に気が付いたのか、再度魔法を使う。 マハジオダイン。 言うまでもなくジオ系……雷系の魔法で、マハとダインが付いている事が証明しているように、周囲一帯に強烈な雷を巻き起こす広範囲殲滅呪文だ。 ちっ、同じミスはしないか。 先程の気配遮断からゲイ・ボルグに繋いだ一撃は、デスにとっても相応のダメージを負ったという事だろう。 もっとも、そのダメージもすぐに……それこそ一瞬で回復されてしまったが。 気配遮断を止め、こちらに向かってきた雷の全てを白炎で燃やしつくしていく。 そうして次の俺が選んだ攻撃方法は、影の槍。 俺の影から姿を現した、数十、数百の影槍がデスに向かって飛んでいく。 それを見たデスは、手に持っている長剣を素早く振るって影槍を迎撃……しつつ、仕返しだとこちらに向かって闇の衣を伸ばしてくる。 いや、これ長さとかどういう風になってるんだ? 明らかに最初に俺が見た時に比べると、限界以上に長くなってるんだが。 そう思いつつ、俺もまた闇の衣をゲイ・ボルグで迎撃する。 放たれる連続の突きや薙ぎ払いが、俺に向かってくる闇の衣を弾き、斬り裂く。 ……もっとも、斬り裂いてもすぐに回復する辺り、正直ダメージを与えているようには見えないのだが。 いや、本当に厄介だな。 そう思いながらも、俺は次々に攻撃をくりだしてく。 そのまま数分……お互いにこの状況では千日手になると、そう判断したのか、デスは影槍を大きく振り払うと、そのまま後方に跳躍して間合いを開ける。 『うーん、やるね』 「そう言って貰えて何よりだ。ただ、どうせならもっと今のやり取りを続けても良かったんだが?」 『それも面白いと思うけど、そうなると、色々と退屈な戦いになりそうじゃないか。だから……今度はお互い、特殊能力の類を使わないで、武器だけでやり合うというのはどうかな?』 「武器だけで?」 その言葉に一瞬迷ったが、今までの戦いからの推測だと、デスは様々な能力を持っているのは半ば確定している。 そうである以上、向こうが自分から特殊能力の類を使ってこないというのであれば、それは俺にとっては願ったり叶ったりといったところなのは間違いないだろう。 「分かった。それも一興って奴か。……なら、純粋に技術だけで相手をさせて貰うか。……行くぞ!」 |