『ソードアート・オンライン 穹色の風』への感想
投稿者:sonas
[2016年 01月 11日 17時 35分]
▼良い点
やはり何といっても、心理描写とストーリー構成に引き込まれてしまいますね。羨ましい限りです(血涙)
▼一言
途中までは読ませていただいていたのですが、やはり全部読んでから感想を書こうと思っていたので時間が掛かりすぎましたね。途中経過でも感想をあげさせて頂くべきでした。
早速ですが、読んでいて思わず首を傾げてしまった点がございましたので、その報告をば。
場面転換や章を跨ぐと途端に話が飛んでしまうように思えました。でも、後から真相を明かしていくような文体とお見受けしましたので致し方ないのでしょうか。
例を挙げると、『春告ぐ蝶と嵐の行方』のエミさん起床シーンから、いきなり《フローリア》に場面が移ってシリカがいる場面に移行した箇所でしょうか。他にも同じような急激な場面転換が幾つかございましたが、自分の読解力の無さでしたら申し訳ない限りです。
ともあれ、気になるところはそれだけなんです。あとは洗練された比喩表現と台詞回しのオンパレードで、ただただ頷くばかりでした。凄まじく重厚な設定が見え隠れしているような気もして、目が離せません。
さて、ここからはこの作品を褒め殺すだけの時間です。
まず驚かされたのはマサキさんの演算能力の高さですね。ベータテスターが前以て得ていた情報から敵の行動を予測するのに対し、初見でも筋肉の動きだけで挙動を見切るという発想とそれを可能とする脳のスペックに度肝を抜かれました。章を重ねるごとに個性の理由というかルーツというかを現してゆく描写も相俟って、非常に魅力的なキャラクターです。もう大好物です。
トウマのヒロイン力も恐ろしいものがありましたね。別に献身的に家事をしてくれるわけでも、毎朝起こしてくれるわけでも、ましてや美少女でもないのに、それでも主人公の傍に在り続けて、尚且つ精神的な拠り所になるあたり、これはかなりの危険人物ですな。
入れ替わりに登場した新ヒロインのエミさんはもうアレですね。心理描写のせいで最強ですね。心に不安を抱えていた頃と解消された後の差が見ていて泣きそうになりました。救われてよかったと心から思えたキャラです。その時の文章はどこかファントムバレットの終盤に通じる感動があって印象的でした。『Each and All』の歌詞と曲調にドンピシャな所為で、ようつべを開くとオススメ常連になってしまいましたが、耳が幸せなんで問題ありません。
とにかくキャラクターの個性が色彩豊かで、とくに主人公であるマサキさんの魅力は凄まじいです。
《他人との接触に対する恐怖》を抱えながら、それでもトウマを親友と認める強さや、トウマを失ってからも自分と同じ慟哭を体験したシリカや孤独で壊れそうになるエミさんに、関わるのを嫌がる素振りを見せつつも救いの手を差し伸べる姿は心にくるものがありました。
アインクラッド後編からは完全に他者との繋がりを拒絶していたマサキさんも、少しづつ好転しているように見えたので、このままヒロインと結ばれてくれればと思うばかりです。
そして、やはり後編に入ったあたりで登場していた幼女、彼女は一体何者なんですかね。マサキさんの交友関係を気にしている節も見受けられたし、まさか人見知りの激しい息子を案じるオカン的存在なわけないですよね?
………冗談はいいとして、間違いなく物語の根幹に位置するキーキャラクターなのでしょう。次の登場で物語がどう動くのか期待です。
………と、思ったままを垂れ流させて頂きました。今後とも一人の読者として今度の展開を楽しみにしつつ、これにて失礼致します。今後も更新、頑張ってください!
投稿者:
Cor Leonis
[2016年 01月 13日 (日) 03時 39分 45秒]
これはまた濃密な感想が。気合を入れて返信せねば――! ということでCor Leonisです。ご感想、ありがとうございます。
まずご指摘いただいた点ですが、自分で読み返してハッとしました。私は書き手として次の展開が解っているために気付きませんでしたが、確かに改めて読者目線で見ると「?」となってしまいますね。こういうミスというのは、読者の方がストーリーから覚めてしまうため、一番注意しなければならないものなのですが……不覚でした。
なんにせよこのままでは不味いので、該当箇所と思われる部分を近日中に訂正するつもりでおります。ただ、私が恐らくSAO二次界隈で最も高い《遅筆スキル》熟練度の持ち主であろうことに加え、一度どこかを書き直そうとするとその他全部を書き直したくなってしまう禁断症状が現れてしまう可能性があるため、訂正は手を付けられる部分のみ、という形で行わさせていただきます。申し訳ございません。
さて、続いてご評価いただいた点ですね。
マサキ君のスペックや戦い方は、「頭のいい主人公」というモデルを考えたのと同時に思い浮かんだものです。最初は「ただ頭のいい主人公って結構いるけど、それを中心にしたキャラっていないよなぁ」なんて単純な思いつきだったのですが、気に入って頂けたようで何よりです。設定の明かし方については、ぶっちゃけ出すタイミングが遅れているだけのような気がしなくもないですが、まあお褒めいただけたのでよしとしましょう(笑)
お次はトウマ君――の前に、下の方でもマサキ君について触れていただいていたので、先にそちらについて。
マサキ君のキャラクターというのは、実はSAO二次創作界に多く存在する、いわゆる「王道系」タイプの主人公に対するアンチテーゼ的な意味合いを少しだけ含んでいたりします。
SAOというのは残酷なゲームです。大切な友人や恋人がいとも簡単に命を落としてしまうかもしれない一方で、自分もまた、他のプレイヤーの命を奪わねばならない可能性がある。そんな状況を実際に体験した時、人は「他人の命を奪ってしまった自分が、このまま幸せになってしまっていいのだろうか?」という苦悩や、「この人もまた、アイツと同じように自分の前から消えていってしまうのでは?」という怯えに晒されるわけです。
こういうとき、ヒロインによる叱咤激励で葛藤や苦悩を乗り越えるパターンが多かったりするのですが、それってそんな簡単に乗り越えられるものではないと思うんです。何度も何度も苦しみながら自問自答した結果辿り着いた信念こそ、人を納得させる重みを持てる。でも、そんな風に悩めるのは、命を誰より大切に思っている、優しい人なんだろうと思います。そして、だからこそそんな悩みを抱えながらも人に救いの手を差し伸べるし、助けた人から慕われ、逆に助けられていく。私はまだまだ未熟者ですが、少しでもマサキ君というキャラクターを通じてそんな不器用さと優しさを描ければと思います。
……大分熱く語ってしまいましたね。ヤバイ、恥ずかしい!(笑)
恥ずかしさを忘れるためにもどんどんいきましょう。続いてトウマ君。そうなんです、彼はとても恐ろしい人物なのです。どのくらい恐ろしいかと言うと、主人公の親友枠で出したはずがいつの間にかヒロイン枠に収まっていたくらい恐ろしいんです(笑)……キャラ崩壊とかプロット修正とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
まあ、いずれにせよ、こうしてトウマ君が本編に登場しなくなってからも感想欄で話題に出していただけるというのは、作者としては嬉しいばかりです。
エミさんは先ほども書きました、「主人公に救われて、逆に主人公を救おうとする」役回りのヒロインですね。ですので、SAO世界では割とありそうな「孤独」という感情フォーカスして描いてみました。今はまだ半人前のヒロインですが、ここから怒涛の巻き返しを見せていきますのでお楽しみに。余談ですが、うちは主人公がおよそ主人公らしくない性格をしていることもあり、性格的な主人公らしさでは彼女が一番だったりします(笑)
そして、まさかあの幼女(仮)に触れていただけるとは。というか、オカン設定いいですね(えっ)
『幼いころに交通事故で母をなくした主人公は、夢の中で母親と再会する。事故後すっかり人見知りになってしまった主人公を心配して会いに来たという母はしかし、幼女としか言い表せない外見に変わっていて――!?』みたいな。それだけで一本ラノベが書けそうな気がします(笑)
冗談はさておきネタバレになってしまうので詳細はお伝えできませんが、拙作のストーリーに、そしてマサキ君の人格形成にも大いに関わってくるキャラクターである、とだけ、ここでは書いておくことにしましょう。
……なんだか見直してみると、またえらく長い返信になってしまいました(苦笑)。こんな作者の書く拙作ですが、今後ともご愛読頂ければ幸いです。
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