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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐の感想一覧
「ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐」の感想
turugiken
2016年 01月 20日 22時 10分
コメント
まだまだ途中ですが、少し気になったことが。アルゴの「攻略本」について。
獲得した情報をすぐに「攻略本」としてオープンに晒すのは、危険極まりない行為なのではないかと。茅場=ヒースクリフや実質運営しているであろうカーディナルシステムに、情報を漏洩する危険な行為ではないかと。有用な情報なら、敵に知られないように機密性を持たせ的確にプレイヤーだけに伝わる方法を採るべきだった。ゲーム世界の外の掲示板サイトなどが使えない現状では、口伝えか直接指導がベストだったのではないか、と。
このことは原作でもあまり指摘されず暗に善い行いとされていますが、敵/モンスターに行動パターンを改善させる機会を与えるという最悪な行いでもあります。これを自覚的にやっているのならスパイですし、無自覚ならば情報屋失格です。「攻略本」としてオープンにしてしまえば、カーディナルも見れますし茅場=ヒースクリフも見ないわけがない。見ないフリをしなければならないなんてルールがあればいいですけど、誰でも無料で手に取れるアイテム=「攻略本」の場合は、そのルールの適用範囲内であるとは言い切れない。見なかったフリをするには/してもらうには、あまりにも無防備におかれすぎている。
この「攻略本」から敵に、プレイヤーが獲得した情報が漏洩している可能性が極めて高い。その情報を元にモンスターたちのアルゴリズムが改善されている可能性もある。ゲーム攻略の難易度を上げてしまっている可能性がある。……SAOのプレイヤーたちやアルゴは、「攻略本」の危険性を自覚しているのか? 知りたいところです。
作者からの返信
2016年 01月 20日 23時 09分
非常に興味深い考察ですね。とても考えさせられます。
ツルギさん(?)の仰るとおり、プログレッシブにおけるボス攻略は全てアルゴの攻略本で事前に情報が開示されている――――第一層は確実に開示されている――――としたら、ボスのアルゴリズムの変化はアルゴの攻略本を検閲したカーディナルシステムか、ヒースクリフ自身によるものかも知れません。ですが、アルゴLOVE勢である自分は敢えてツルギさんの意見と反対側の立場にいようと思います。
先ず、アルゴは攻略本を出版せずに口伝えで情報を指導することがベストであるという意見ですが、実はこれはプレイヤー側に被害が及ぶ可能性のある方法であると思います。
文字を介さない、言語のみによる情報伝達において、その情報を保存する記憶媒体は《人間の脳》そのものとなる事は言うまでもありませんが、その構造上、個人差はあるものの《情報の劣化が著しい》ことが大きなデメリットです。要は《うろ覚え》というものですね。
もう一つ、今度は個人差による《認識の齟齬》というものです。アルゴの言い回しによって伝えられた元の情報と理解したと思った内容に食い違いが生じた場合、それは情報を正しく伝えられたとは言えません。また、仮にアルゴから正しく情報を得られたとしても、そのプレイヤーが他のプレイヤーに情報が広まらないとも限りません。その時、《又聞きの情報》はアルゴの口から聞かされたものと同様の精度を保っている保証はあるでしょうか?
もちろん、この例は最悪の事態ですが、そのような曖昧な情報が流布した状況下でプレイヤーの誰かがHPを全損するような事態があっては、それこそアルゴは《曖昧な情報》を扱ったとして、情報屋失格となってしまうでしょう。
この上記のデメリットを克服する為に、《情報を補完しておける媒体》と《文字による画一化された情報の伝達》という手段として攻略本が取られたのだと思います。これによって新規プレイヤーの多くが助けられたとの記述も原作にあるくらいですので、少なくとも情報は正しく伝達されてはいるのでしょう。
そして、ツルギさんの意見の根本的な部分に疑問を提起させていただきますが、ヒースクリフやカーディナルシステムが情報を検閲していて、それによってモンスターの行動パターンを変更しているという意見についてですが、そもそもツルギさんの示される前提ですと、検閲される情報は《文字》のみと認識されておられるように感じられます。
実際、SAOを構成する全てはデータであり、《味覚》や《色彩》や《音声》や《触覚》や《臭気》といった五感その全てが《情報》となり、それらを再現しているのは何物でもなくカーディナルシステムです。つまり、製本された《文字》のみならず、口伝えによって発信される情報さえも、ナーヴギアから受け取った脳の信号をSAOのアバターに伝えて動かす過程で、サーバーであるカーディナルシステムに全ての情報を通さねばならないのです。故に、いかなる情報さえもカーディナルシステムに隠匿しつつ他のプレイヤーに伝達することは実質的に不可能ということになるのです。
そもそも、自身がデスゲームに置かれた状況で攻略本の危険性を自覚してしまったら、アルゴは読者的観測を以てSAOの世界に存在していることにもなりかねないので、彼女には悪意はなかったのでしょうし、それを情報屋失格と結論付けるには論点が逸脱してしまっているようにも思えます。
………と、自分の意見はこんなところでしょうか。
感想ページで徹底討論というのも乙なものですね。ツルギさんのSAOに対する深い見識と問題提起には脱帽です。自分も攻略本の在り方に考える良いきっかけとなりました。ありがとうございます。
もし、自分の認識と意見が疑問解決の糸口になれば幸いです。
最後にはなりましたが、今後とも黒の幻影をよろしくお願います。
ではまたノシ
2016年 01月 20日 22時 10分